
中東というと、ラクダに乗って砂漠を旅する…そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。でも実は、中東にも立派な鉄道の歴史があるんです。しかもそのスタートは意外にも、宗教や軍事と深〜く関係しているんですよ。どういうことかというと、中東の鉄道は「巡礼支援」と「軍隊の輸送」のために建設されたのが始まりなんです。 現在の高速鉄道や都市交通にもつながる、その始まりと変遷をのぞいてみましょう!
中東の鉄道史は、19世紀末から20世紀初頭のオスマン帝国によって動き出しました。列強に囲まれた当時のオスマンにとって、鉄道は宗教と軍事の両面で超重要なインフラだったんです。
1900年に建設が始まったヒジャーズ鉄道は、シリアのダマスカスからサウジアラビアのメディナまで、なんと1,300km以上! 目的は、メッカ巡礼を目指すイスラム教徒の移動をサポートすることでした。砂漠を超えて神聖な旅を少しでも楽にしたいという願いが背景にあったんですね。
ただ、表向きは宗教的意義をうたっていても、実際には軍隊の迅速な移動も大きな狙い。特にアラビア半島での反乱やイギリスの影響力に備えて、鉄道はオスマン帝国の手足となるべく建設されたんです。
でも、せっかくできた鉄道も、戦争とともに大きく影響を受けることに。中東の鉄道は戦火によって一度バラバラになってしまいます。
第一次世界大戦中、アラブ反乱が起きると、ヒジャーズ鉄道は反乱軍によって何度も破壊されました。あの映画『アラビアのロレンス』にも登場するように、鉄道は攻撃の的だったんです。
戦争後、中東はフランスとイギリスによる委任統治下に置かれ、鉄道も国境や利権で分断されてしまいました。ダマスカスからメディナまでつながっていたヒジャーズ鉄道も、ほとんど機能しなくなってしまったんです。
時代が進むにつれて、中東各国は独立を果たし、それぞれの国が鉄道網を再整備・近代化し始めました。
オスマン帝国の中心だったトルコでは、共和国建国後に鉄道が国家インフラとして整備されました。近年では高速鉄道(YHT)も登場し、イスタンブール〜アンカラ間などで活躍しています。
イランやエジプトも早期から鉄道を持ち、今も都市間や都市内で利用されています。カイロには地下鉄もあり、アラブ世界初のメトロとして有名です。
そして今、中東の鉄道は新たなフェーズに突入しています。技術も、スピードも、スケールもどんどんアップ中!
湾岸協力会議(GCC)加盟国を結ぶ「湾岸鉄道」計画が進行中。サウジアラビア、UAE、カタール、クウェートなどを高速鉄道でつなぎ、ヒトとモノの流れを加速させようというビッグプロジェクトです。
サウジアラビアでは、メッカ〜メディナ間を結ぶハラマイン高速鉄道がすでに運行中。砂漠の中を時速300kmで駆け抜けるなんて、100年前の人が見たらびっくりですよね!
中東の鉄道って、最初は宗教と軍事のための「聖戦インフラ」みたいな立ち位置だったけど、今では未来を見据えた地域発展のカギになっているんです。鉄道のレールの上には、ただ人やモノを運ぶだけじゃなくて、歴史と希望が交差してるんですね。