
南アジアの地形って、まるで自然が作った巨大なジオラマみたい。ヒマラヤ山脈のそびえる北部から、なだらかな大平原、そして熱帯の海岸線まで、たった1つの地域とは思えないほど多様な地形が広がっているんです。そして面白いのが、この地形が人々の暮らし・文化・社会の形にまで影響を与えているということ!
南アジアの地形は「自然の起伏が風土や社会構造を根本から形づくってきた」んです。
南アジアは、ざっくり5つの地形要素でできています。山脈・平野・盆地・川・海岸。これが複雑にからみあって、独特の気候や文化が育まれているんです。
言わずと知れた世界最高峰の山脈。エベレスト(ネパール・中国国境)やカンチェンジュンガ(インドとネパールの間)など、8000メートル超の山々が並びます。
この山脈が、モンスーンの湿気をブロックして南アジアの雨の降り方を決めているだけでなく、氷河が川の源流となり、巨大な川を生んでいます。
インド中南部のデカン高原は、比較的乾燥した高地地帯。雨が少なく、農業では灌漑(かんがい)設備が必要なエリアです。また、ゴーダーヴァリ川流域などにはいくつかの盆地があり、ここでは古くから文明が栄えてきました。
インド〜パキスタン北部にかけて広がるインダス川平野とガンジス川平野は、超重要な農業地帯。雨季には川が氾濫して肥沃な土壌をもたらし、稲作や小麦の栽培に適しています。
ここには南アジア人口の半数以上が集中しているとも言われるほど、人がびっしり暮らしてるエリアなんです。
パキスタン南東部やインドのラジャスタン州にまたがるタール砂漠(またはシンド砂漠)は、年中カラカラの乾燥地帯。ここは植生が少なく、水も貴重で、暮らし方も他とはまったく違います。
アラビア海とベンガル湾に面した海岸線では、漁業が盛んなだけでなく、港町や商業都市が発展。チェンナイ、コルカタ、ムンバイといった大都市は、いずれも海に面しています。
また、ベンガル湾側には世界最大級のデルタ地帯「スンダルバンス」が広がっていて、マングローブ林と湿地が特徴です。
川は南アジアにとって、まさに命の流れ。農業・飲み水・宗教儀式…あらゆる場面で大切にされています。
これらの川は、雨季になると氾濫することも多く、災害との共存も課題のひとつです。
地形によって、同じ南アジアでも風土・文化・社会構造はまったく違ってくるんです。
ネパールやブータンのような山の国では、村落が山にへばりつくように点在し、家族単位の助け合いが大切にされてきました。移動が大変なので、自給自足型の生活が多いです。
ガンジス川流域などの平野部は、人口密度が非常に高く、都市化が進んでいます。農業が発達し、インフラも比較的整っていますが、そのぶん洪水や感染症のリスクも高いエリアです。
砂漠地帯では、井戸や貯水池が命綱。移動しながら暮らす遊牧民も多く、生活様式が平野部とは大きく異なります。
海沿いの都市は、昔からインド洋交易の要所として発展してきました。アラブ、ヨーロッパ、東南アジアとの交易の影響で、多文化的な社会が根づいています。
こうして見てみると、南アジアの社会や文化は「地形」によって色づけされてきたってことが、よくわかりますよね。山、川、平野、海…それぞれの環境が、人の暮らしや考え方まで形づくっているのが、この地域の面白さだと思います。