
パキスタンの国旗
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | パキスタン(Pakistan) ※正式名称:パキスタン・イスラム共和国 |
首都 | イスラマバード(Islamabad) |
人口 | 約2億3,000万人(2024年推計) |
面積 | 約881,900平方キロメートル |
公用語 | ウルドゥー語、英語(他に地方言語多数) |
通貨 | パキスタン・ルピー(PKR) |
政治体制 | 連邦共和制(議会制民主主義) |
主要宗教 | イスラム教(スンニ派中心) |
国際的地位 | イスラム核保有国。インドとの対立が継続する地政学的要衝 |
建国背景 | 1947年、インドから分離独立。ムスリムの国家として成立し、バングラデシュはかつての東パキスタンにあたる。 |
パキスタンって聞くと、イスラム教やカシミール問題、あるいは核保有国…といった印象が強いかもしれません。でもその背景には、「宗教に基づく国家分離」という世界的にも珍しい建国ストーリーと、インダス文明から続く深?い歴史があるんです。今回は、そんなパキスタンの成り立ちと今の姿を、歴史・地理・宗教・社会・政治の観点からじっくりご紹介していきます!
パキスタンは南アジアに位置する国で、北東にインド、西にアフガニスタンとイラン、北に中国と接しています。南側はアラビア海に面しており、戦略的にも重要な立地です。首都はイスラマバードで、最大都市はカラチ。
北にはヒマラヤ山脈が延び、カラコルム山脈のK2(標高8611m)は世界第2位の高峰。中央にはインダス川流域の肥沃な平野が広がり、南部は乾燥地帯。気候は地域によって異なりますが、全体的に乾燥した暑い気候が特徴です。
人口の9割以上がイスラム教徒で、特にスンナ派が多いです。民族的にはパンジャーブ人が最多で、シンド人、パシュトゥーン人、バローチ人など多様。言語もウルドゥー語(公用語)を中心に、各地でさまざまな言語が使われています。
パキスタンの誕生は、単なる「独立」ではなく、宗教的分離独立という非常に特殊な形で生まれた国家なんです。
紀元前2500年頃、この地にはインダス文明が栄えていました。モヘンジョ・ダロやハラッパーなどの都市遺跡は、整った都市計画や高度な衛生システムを持ち、古代世界の中でも非常に先進的でした。
8世紀以降、アラブ系・トルコ系のイスラム勢力がインド北西部に進出し、16世紀にはムガル帝国が成立。ムガル文化はイスラムとインド文化が融合した独自の美学を築き、今日のパキスタン文化の源流にもなっています。
19世紀になるとイギリス東インド会社が支配を強め、のちにイギリス領インド帝国へ。ここで登場するのがムハンマド・アリー・ジンナー率いる全インド・ムスリム連盟。彼らは「ヒンドゥー教徒とイスラム教徒は別民族であり、共に一国に住むべきでない」と主張し、イスラム教徒のための国家=パキスタンの設立を目指しました。
そして1947年、ついにパキスタンとインドが分離独立。この時、民族・宗教ごとに国境を越えて大量の人々が移動し、数十万人規模の死者を出す大混乱が発生しました。パキスタンは東西に分かれた状態(西パキスタンと東パキスタン)でスタートしましたが…。
東西の文化・政治格差から1971年に東パキスタンが独立し、現在のバングラデシュになります。つまり、今のパキスタンは、独立当初の「片割れ」として再出発した形なんですね。
パキスタンは連邦制・イスラム共和国で、大統領と首相の二重権力体制。ただし、政治は軍の影響力が強く、何度もクーデターや軍政を経験しています。
独立直後からインドとカシミール地方の領有権をめぐる争いが続いており、これまで3度の戦争を経験。現在も実効支配線(LoC)を挟んで緊張状態が続いています。
1998年には核実験を実施し、正式に核保有国に。隣国インドに対する「抑止力」としての意味合いが強いです。ただし国際社会ではテロとの関連や内部過激派の問題で厳しい目を向けられることも。
パキスタンの社会には、伝統と現代が入り混じる独特の魅力があります。宗教的価値観が強い一方で、都市部では徐々に近代化も進んでいます。
公用語はウルドゥー語ですが、地方ではパンジャーブ語、シンド語、パシュトー語などが話されます。英語教育も根強く、エリート層は英語を流暢に話す人も多いんです。
パキスタン料理は香辛料が豊富で濃い味が特徴。ビリヤニ(スパイス炊き込みご飯)やケバブ、カレーが定番で、インド料理と近いけどより肉料理が多いです。牛・鶏・羊が中心で、豚肉は宗教的に禁止されています。
イスラム文化の影響で女性の社会進出には制限もありますが、教育を受けた女性の活躍も増えていて、ベナジル・ブットーのような女性首相も過去に登場しています。
パキスタンって、宗教、歴史、地政学…いろんな要素が絡み合った国なんです。「イスラムの理想国家」を掲げて誕生したパキスタンは、その理想と現実のはざまで今も模索を続けています。ニュースだけじゃわからない、その奥にある人々の生活や誇りに、ぜひ目を向けてみてくださいね。