
南アジアといえば、世界でも有数の人口密集地域。そのお腹を満たすために欠かせないのが農業です。古代から続く農耕文化に支えられたこの地域では、今も多くの人が畑や田んぼで働いていて、生活の基盤として農業が大きな役割を果たしているんですよ。
とはいえ、地域ごとに気候も地形も全然違う南アジアでは、育てられている作物も多種多様。モンスーンとともに生きる農業スタイルや、国ごとの特色ある農作物のラインナップを見ていくと、いろんな発見があります!今回は、そんな南アジアの農業事情について、土地の特徴と作物の視点から探っていきます。
まずは「どんな土地で農業をやってるの?」というところから。南アジアは気候も地形もバラバラなので、農地にもいろんなタイプがあるんです。
インド北部〜バングラデシュ〜パキスタン東部に広がる平野部は、沖積層によってできた非常に肥沃な土地。ここは南アジアの穀倉地帯と呼ばれ、稲作や小麦栽培の中心地となっています。
インド中部〜南部にかけて広がる高原地帯は、やや乾燥気味。でも、川やダムを活用した灌漑(かんがい)農業が発展していて、綿花や豆類、ソルガム(モロコシ)などが育てられています。
ネパールやブータンの山間部では、急な傾斜を活かして段々畑が発達。標高や気温差に合わせて、ヒマラヤ野菜や雑穀、じゃがいもなどが栽培されています。
スリランカやバングラデシュ南部などのモンスーン地帯では、雨季の湿潤な気候を利用して稲作や果樹園が盛んです。水に恵まれた土地だからこそできる農業ですね。
次に、実際にどんな作物が育てられているか見ていきましょう。主食系、商業作物、果物系などジャンル別に紹介します。
マンゴー、バナナ、パパイヤ、カシューナッツなど、果物やナッツも豊富。特にインドのマンゴーは世界中にファンがいるレベルです。また、紅茶(チャイ)やジンジャーといった輸出用作物も大きな産業になっています。
自然条件に恵まれているように見える南アジアですが、課題もたくさんあるんです。
季節風(モンスーン)の到来が不安定になると、農作物の生産に大きな影響が出ます。特に雨が少ない年は干ばつ、逆に多すぎる年は洪水が問題に。
土地の細分化や、資金・技術の不足などから生産性が上がらないという声も多いです。多くの農民が自給的農業に依存しているのが現状。
機械化・化学肥料の導入が進む一方で、持続可能な農業を意識したオーガニックや伝統農法を守ろうとする動きも出てきています。
南アジアの農業は、モンスーンのリズムに合わせて暮らしてきた人々の知恵の集大成。平野・高原・山岳といった多様な地形の中で、それぞれの土地に合った作物と栽培法が育まれてきたんです。経済や気候の変化の中で、どこまで持続可能で豊かな農業を続けていけるか。それは、南アジア全体の未来を左右する大きなテーマなんですよね。