
ブータンの国旗「ドラゴンフラッグ」
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | ブータン(Bhutan) ※正式名称:ブータン王国 |
首都 | ティンプー(Thimphu) |
人口 | 約80万人(2024年推計) |
面積 | 約38,400平方キロメートル |
公用語 | ゾンカ語 |
通貨 | ニュルタム(BTN) |
政治体制 | 立憲君主制 |
主要宗教 | チベット仏教(国教的役割) |
国際的地位 | 幸福度を重視する政策で知られる。観光に制限を設け環境保護重視 |
建国背景 | 1907年に王政が成立し、2008年に立憲君主制へと移行。外交はインド重視。 |
ブータンって聞くと、「幸せの国」「自然が豊か」「山奥の秘境」…そんなイメージがあるかもしれません。でもその正体は、ヒマラヤに抱かれた小さな王国が、仏教を軸に独自の文化と政治を守り抜いてきた稀有な存在なんです。今回は、そんなブータンの特徴と成り立ちを、地理・歴史・文化・社会・経済の観点からじっくり紹介していきますよ!
ブータンは南アジアのヒマラヤ山脈の東部に位置する内陸国で、北は中国(チベット自治区)、南・東・西はインドに囲まれています。首都はティンプー、人口は約78万人ほどで、世界でも有数の小国なんです。
国土のほとんどが山岳地帯で、北部は標高7000メートル級の高山が連なり、南部に向かってだんだんと標高が下がっていきます。気候は高地性気候が中心で、標高に応じて寒暖差が大きいのが特徴。森林も豊かで、国土の7割以上が森という驚きの自然国家なんです。
人口の多くはブータン人(ゾンカ人)で、ほかにネパール系やシッキム系の人たちもいます。宗教はチベット仏教(大乗仏教)が圧倒的多数で、宗教と日常生活が密接に結びついた社会になっています。
ブータンの歴史は、他国に侵略されずに独自の文化を守り続けてきた「平和の王国」としてのものなんです。その礎を築いたのは、なんと「お坊さん」だったんですよ!
17世紀、チベットから渡ってきた僧侶シャブドゥン・ガワン・ナムゲルが、各地に分かれていた諸勢力をまとめ、ブータン最初の統一国家を築きました。このときに仏教を国家の柱とし、現在に続く宗教と政治の融合体制の基礎ができあがります。
19世紀にはイギリス帝国と国境紛争が起こりましたが、戦争を経て講和条約を結び、外交権をイギリスに預ける形で独立性を確保します。植民地にはならなかったのがポイントです!
1907年にはワンチュク家による王政が始まり、初代国王が即位。以後、王室は国の統一と安定を守る存在として高い支持を得てきました。21世紀に入ってからは立憲君主制へと移行し、民主化も進められています。
ブータンは立憲君主制を採用し、国王と議会が共に国を運営しています。でもその運営の中で、他の国とはちょっと違うブータン独自の価値観があるんです。
2008年に国王の主導で憲法が制定され、国会が設立されました。でも今でも国王の人気と影響力は絶大で、「民の幸せを第一に考えるリーダー」として尊敬されています。
ブータンの政策はGDP(国内総生産)じゃなくてGNH(国民総幸福)が指標!経済成長よりも、精神的な豊かさ・文化の継承・自然との調和が優先されるという世界でもユニークな国づくりをしてるんです。
ブータンの経済は決して豊かではありませんが、慎重な開発路線で少しずつ成長しています。外国資本の導入や観光もありますが、「量より質」を大事にしているんです。
最大の産業は水力発電!ヒマラヤから流れる豊富な水を利用して電力をインドに輸出しています。これがブータン経済を支える大黒柱。
ブータンの観光は高額なビザと宿泊費が必要で、数を絞って環境と文化を守るための「富裕層向けエコツーリズム」として展開。いわゆる「数じゃなくて質」ってやつですね。
近年は若者の失業率上昇や農村から都市への人口流出が課題に。伝統と近代化のバランスをどう取るかが、これからのテーマです。
ブータンの暮らしは、仏教の教えと自然との共存がベースになっています。近代化の波が押し寄せても、そこにしっかりした「芯」があるんです。
公用語はゾンカ語。でも地域ごとにさまざまな言語や方言が使われていて、文化の多様性がちゃんと保たれています。街中では僧侶や民族衣装を着た人たちもよく見かけます。
ブータンの主食は赤米で、エマ・ダツィ(唐辛子とチーズの煮込み)が代表料理。とにかく辛い!けどクセになる味。野菜中心の素朴な料理が多く、仏教的な影響も強いです。
ゾン(要塞兼僧院)は各地にあり、地域の信仰と行政の中心。春や秋にはツェチュ祭というお祭りがあり、仮面舞踏や踊りが奉納され、地域の人が一堂に集まって盛り上がります。
ブータンは、小さくてもすごく芯の強い国。経済成長に流されず、「本当の豊かさ」を大事にして、みんなで助け合いながら生きている社会がここにはあります。静かな山の国の、深くて温かい魅力を、ぜひじっくり感じてみてくださいね!