中東は文化的な同一性を基準にした国際政治学上の地理区分のこと。中東圏といえば、イスラーム文化との深い結びつきが挙げられます。
イスラーム文化とはイスラム教信者(ムスリム)に共通する文化のことで、唯一絶対の神(アッラー)を信仰、文学は主にアラビア語やペルシア語で記述、美術はアッラーを題材としたもの、建築は礼拝堂モスクの様式を採用、…といった特徴を持っています。こういったイスラム文化は、7世紀にアラビア半島で誕生し、以後イスラム系国家の勢力拡大と共に、普及・成長してきた歴史を持ちます。
イスラム教の祝日としては、イド・アル=フィトルとイード・アル=アドハーという2つの祝祭(イード)が挙げられます。
ラマダーン(日中に断食を行う月のこと)の終了を、第10月の1日から3日間祝う行事です。フィトルというのは断食の終わりを意味します。一般的にザカート(慈善)はムスリムが与えることになります。
「犠牲祭」を意味します。第12月の10日目から4日間を宴で祝います。参加する全てのムスリムは正装してモスクに集います。羊肉を切り分け、飢えに苦しむ人々などに分け与え、残りは家族や親友で食べます。
イスラム教には「断食(ラマダーン)」という習慣があります。ムスリムには日の出から日没まで断食をしなければならない月があるのです。1ヶ月間食べ物だけでなく飲み物も禁止です。しかし本当に1ヶ月飲まず食わずでは命に関わりますから、完全絶食ではなく、日没から日の出までの間に1日分の食事を取り、それ以外の時間帯は一切口にしないというものです。つらいことに変わりありませんが、妊婦や病人、乳幼児などは断食を免除されるなど、そこまで厳格化されているわけではありません。
イスラム教の聖典クルアーンでは、「女性は顔と手以外を隠し体の線が目立たないようにしなければならない」という規定があり、イスラム社会における女性は、体全体をすっぽり多い隠すような服を着用するのが一般的です。ただどの程度隠さなければならないのか、というのは国によって異なり、露出度が異なる様々な種類の服も存在します。
ヒジャブは頭髪を隠すスカーフのような衣服で、最もよく知られるイスラム服の1つです。「ヒジャブ」はアラビア語で「覆うもの」という意味があるほか、「貞淑」「道徳」といった意味合いもあります。「男性を欲情させないようにする」という目的があるそうです。
アラビア半島の伝統的な民族衣装です。黒い布で目と手足の先以外全てを覆う設計になっています。
頭髪のみを隠すヒジャブより、背中まで隠す範囲が拡大しています。
アフガニスタンの伝統的な民族衣装です。目の部分が網状になっているだけで、全てを多い隠す設計になっています。
2008年バグダッドで記者会見中のブッシュ大統領に、イラク人記者が靴を投げつけた事件はあまりに有名です。中東、イスラーム世界では靴を投げるというのは最大級の侮辱行為にあたります。記者は米国によるイラク攻撃に対する報復として、履いていた左右の靴を大統領に投げつけ抗議しました。2003年にサダムフセイン元大統領の彫像が倒された時にも、多くの反体制派の人々は彫像に靴を投げつけました。
イスラーム世界で靴というのは外部の穢れから足を守ってくれるという概念があります。逆にいえば靴=穢れがくっついたものという概念があるので、靴を投げる=穢れを相手にくっつけ尊厳を傷付けるという意味合いがあるのです。