

南アジアって聞いたとき、みなさんは「何カ国くらいある地域かな?」って、パッと答えられますか?
歴史や文化でつながっているように見えるぶん、ひとまとめにしやすい地域なんですが……実はここ、「国の数」や「境界線の引き方」がちょっとややこしいんです。
地理の教科書っぽくスパッと割り切れないところ、意外と多め。
基本としては、南アジアに含まれる国は定義によって若干異なるけれど、基本的には8カ国とされるのが一般的です。
ただしその中には、「国とは言えないけど地域として影響力が強い場所」や、国境線がはっきり決まっていないエリアが混ざってくることもあります。
つまり南アジアは、「地図に載ってる国名」だけ見ても全体像がつかみにくい地域なんです。
この記事では、南アジアに含まれる国々の一覧をまず整理しつつ、ちょっとモヤッとしやすい未承認国家や係争地帯まで、順番にほどいていきますね。
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南アジア諸国の地図
出典:title『Map_of_South_Asia』-by Cacahuate / CC BY-SA 3.0より
南アジアを語るとき、まず思い浮かべてほしいのが、SAARCの加盟国です。
ここが、いわば「南アジアの基本セット」。迷ったら、まずここから押さえておけばOK、という目安ですね。
| 国名 | 首都 | 特徴・補足 |
|---|---|---|
| インド | ニューデリー | 南アジア最大の人口と経済規模を持ち、地域全体の政治・経済に大きな影響力を持つ。 |
| パキスタン | イスラマバード | インダス川流域を中心に農業が発達し、軍事・地政学的にも重要な位置を占める。 |
| バングラデシュ | ダッカ | 人口密度が非常に高く、縫製業など労働集約型産業が経済を支えている。 |
| ネパール | カトマンズ | ヒマラヤ山脈に位置し、農業と観光業が主要産業。 |
| ブータン | ティンプー | 水力発電を基盤とし、国民総幸福量(GNH)を重視した政策で知られる。 |
| スリランカ | スリジャヤワルダナプラ・コッテ | 紅茶やゴムなどプランテーション農業が伝統的に重要。 |
| モルディブ | マレ | 多数の環礁からなる島国で、観光業への依存度が高い。 |
| アフガニスタン | カブール | 内陸国で歴史的に交易路の要衝。SAARC加盟国だが地域情勢の影響を強く受けている。 |
上の8カ国が、国際的に見た「南アジアの基本ライン」になります。
それぞれの国は、文化も歴史もぜんぜん違うように見えます。
でも実は、地理的な近さだけでなく、経済や政治の面でもかなり深く関わり合ってきた関係なんです。
とはいえ、この中でもアフガニスタンは少し立ち位置が特殊。
地理的には中央アジアや中東との結びつきもかなり強くて、「南アジアに入れる?入れない?」という話題が出やすい国です。それでもSAARCに加盟している以上、実務や統計では南アジアとして扱われることが多い、というわけですね。
ここでよく出てくるのが、
「イランって南アジアじゃないの?」
「ミャンマーはどうなるの?」
という疑問。
結論から言うと、一般的な地域区分では、イランは中東、ミャンマーは東南アジアに分類されます。なので、南アジアの「基本メンバー」には入りません。
ただし、文化・宗教・交易の歴史を見ていくと、南アジアとの関係がとても深いのも事実。
そのため、学術的な議論や国際関係の文脈では、「広い意味での南アジア」として触れられることもあり、ここがまたややこしいポイントなんですね。
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カシミール紛争の支配地域を色分けした地図
旧ジャンムー・カシミール藩王国の領域が、インド・パキスタン・中国の統治区域に分かれて示される。
停戦線(実効支配線)と領有主張が重なり、国境が最終確定しない状態が続く。
出典:『Kashmir map』-Photo by Central Intelligence Agency/Wikimedia Commons Public domain
国の数は決まっているはずなのに、地図をよ〜く見てみると、
「……あれ?ここって結局どこの国?」
と首をかしげたくなる場所、実はちゃんと存在します。
こうしたエリアは国境未確定地域と呼ばれています。
線は引かれている。でも、その線に関係する国すべてが納得しているわけじゃない──そんな状態です。
南アジアで最も有名な未確定地域が、ジャンムー・カシミール地方です。
ここは、インドとパキスタンが1947年の分離独立以降、何度も衝突を繰り返してきた場所。
さらにややこしいのが、途中から中国も関与するようになった点です。
現在は三つの国がそれぞれ
「ここは自国の領土だ」
と主張しており、状況はかなり複雑。
カシミール問題は、地図の線だけでは説明できない、歴史と政治が絡み合った地域です。
カシミール地方の中でも、特に過酷な環境にあるのがシアチェン氷河。
標高は約6,000メートル近くにもなり、常に氷と雪に覆われています。
そんな極限の場所で、今もインド軍とパキスタン軍がにらみ合っているという事実。
人が暮らすためではなく、国境を主張するためだけに兵士が駐留している場所だと考えると、その異常さがよくわかります。
あまり注目されませんが、ネパールと中国(チベット自治区)の国境でも、過去に摩擦が起きた地点があります。
また、ブータンも中国との国境線をめぐって、いくつか最終的に解決していない問題を抱えたままです。
大きな衝突はなくても、「最終確定していない国境線」は確かに存在しています。
これらの地域は、今すぐ地図が変わるわけではありません。
ただし交渉の行方次第では、将来的に地図の描き方が変わる可能性を残しているエリアでもあります。
南アジアの国境は、完成形というより、今も調整が続いている途中段階だと言えるでしょう。
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タリバン政権が実効支配するアフガニスタン
南・中央アジアの結節点として、周辺諸国との位置関係がひと目でわかる。
2021年以降はタリバンが実効支配し、国際的な政府承認は限定的な状態が続く。
出典:『Afghanistan in Asia』-Photo by TUBS/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
国境線や国名だけを見ていると、世界の国々は整然と並んでいるように見えます。
でも実際には、国家の中身──誰が統治し、どこまでが権限なのか、何をもって「一つの国」と言えるのかは、必ずしも単純じゃないんですよね。
南アジアからその周辺地域を見渡すと、中央集権と地域自立、分離の記憶、そして政権承認をめぐる曖昧さなど、さまざまな「国家のかたち」が浮かび上がってくるわけです。
そこでここでは、アフガニスタン、ネパール、スリランカという三つの事例から、立場や構造が複雑になりやすい国のあり方を見ていきましょう!
2021年のタリバン政権の復活以降、アフガニスタンは
国際的に承認されていない政権が実効支配を続ける状態となっています。
そのため、
といった点で、国際社会の判断は非常に複雑です。
領土も統治も存在するのに、「国家とは何か」が改めて問われています。
アフガニスタンは「未承認国家」という言葉だけでは整理できません。
むしろ、現代の国際政治が抱える曖昧さを、そのまま映し出している存在だと言えるでしょう。
ネパールは、都市や地域ごとの裁量が比較的大きく、
実際の政策運用や行政の進め方にはっきりした地域差が見られます。
とくに観光や文化政策の分野では、
「この街はこの街のやり方でいこう」
という独自性が強く、訪れる側からすると、同じ国の中とは思えないほど雰囲気が変わることも。
こうした点から、政治的な独立ではないものの、 都市単位での自立性を強く感じられる国だと言えるでしょう。
スリランカではかつて、分離独立を掲げたタミル・イーラムという動きがあり、
長期にわたる内戦へと発展しました。
現在は武力衝突も収まり、国家としての統治は維持されています。
ただし、民族間の緊張や政治的不満が完全に解消されたわけではありません。
国家は一つでも、人々の意識の中には別の線が残ることがある。
地図には現れないけれど、社会の奥に残る境界。
それもまた、「国家」という仕組みの難しさを示しています。
国の数を数える、ただそれだけの話に見えて、実はここ、かなりデリケートなテーマなんです。 南アジアに含まれる国は基本的に8つ。これは間違いありません。
でも、国境問題や政情の不安定さといったグレーゾーンまで含めて見ていくと、その景色は一気に複雑になります。
「何カ国あるの?」という素朴な疑問の裏には、地図だけでは語れない現実が詰まっているんです。
線を引けば終わり、名前を書けば完成──そんな単純な話じゃない。
そこには歴史があり、対立があり、人々の思いがあります。
学校の授業ではなかなか触れられない、地図の裏側にある物語。
そんな視点で世界を眺めてみると、いつもの地図が少しだけ、面白く見えてくるかもしれませんね。
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