
中東の都市って、やたら高層ビルが多かったり、未来都市みたいなプロジェクトが次々立ち上がったりしてますよね。ドバイのブルジュ・ハリファとか、サウジのNEOMなんかがいい例。でも、そういう開発の裏側をのぞいてみると、気になるのが「労働者の実態」。つまるところ、中東のゼネコン業界は「外国人労働者への依存」が非常に強くて、それがさまざまな社会問題の原因になっているんです。この記事では、中東の建設業の構造や課題について、やさしく整理していきます。
まず押さえておきたいのは、中東では今もなお都市開発がどんどん進んでいるということ。特に湾岸諸国では、未来を見据えたインフラ整備に巨額の投資がされています。
UAE、サウジアラビア、カタールといった国々では、高速道路、空港、鉄道、観光施設など、国家プロジェクト級の工事が目白押し。ワールドカップや万博などの国際イベントも追い風になっています。
でも、そうした工事を実際に手がけているのは、多くの場合南アジアや東南アジアから来た外国人労働者たち。たとえばインド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、フィリピンなどから来ているんですね。
ここで大きな論点になるのが、外国人労働者の雇用形態。中東では、伝統的に「カファラ制度」という労働契約システムが使われてきました。
カファラ制度とは、労働者が入国する際に、現地の雇用主(カフィール)が「保証人」となって、労働ビザや滞在資格を管理する仕組みです。この制度のもとでは、労働者は職場を自由に変えることができず、パスポートも取り上げられるケースがありました。
この仕組み、実は国際社会から「現代の奴隷制度」とまで批判されたこともあるんです。特に建設現場では、長時間労働、過酷な気候、低賃金、健康被害などが問題視されてきました。
では、なぜここまで外国人労働者に依存しているのか?それにはいくつかの理由があるんです。
中東の富裕層を中心とした国では、現地の人々が肉体労働に就くことが少なく、建設業は「外国人の仕事」という意識が根強いです。教育制度や社会保障が充実していることもあり、ホワイトカラー志向が強いんですね。
ゼネコン側もコストを抑えるために、安い賃金で働く外国人を好んで雇います。南アジアからの出稼ぎ労働者は、母国での生活費を送金するため、低賃金でも働かざるを得ない状況にあります。
国家プロジェクトが矢継ぎ早に発表される中、短期間で大量の人手が必要とされるため、労働者の国外調達に頼らざるを得ないという面もあるんです。
こうした問題に対して、最近は改革の兆しも少しずつ見え始めています。
カタールでは2020年にカファラ制度の一部撤廃を実施。労働者が雇用主の許可なく転職できるようにしたり、最低賃金制度を導入したりしています。他の湾岸諸国でも、国際批判を受けて同様の動きが広がりつつあります。
将来的には、建設ロボットや3Dプリンター技術を活用して、人手を減らす方向への投資も検討されています。でも、現場の最前線ではまだまだ外国人労働者が不可欠というのが現状なんです。
中東のゼネコン業界は、外国人労働者に大きく依存している構造自体が、労働環境や人権、経済の持続可能性をめぐる重要な課題になっているんです。都市が華やかに発展する裏で、誰がどんな環境でその未来を支えているのか――そんな視点も忘れずに持っていたいですね。