
東南アジア人って言うと、なんとなく日焼けした肌、笑顔が多い、陽気な性格…そんなイメージを持ってる人も多いかもしれません。でも実は、「東南アジア人」という言葉で一括りにするのはめちゃくちゃもったいないくらい、民族的にめちゃくちゃ多様なんです。結論からいってしまえば、東南アジアには数百以上の民族が存在し、その多くはオーストロネシア系・モン・クメール系・チベットビルマ系などの複雑なルーツを持っているんです。今回はそんな「東南アジア人」の多様性と、その背景にある民族の成り立ちを見ていきましょう。
東南アジアでは、国ひとつとっても複数の民族が共存しているのが当たり前。だから「○○人の国」って決めつけられないんです。
ジャワ人、スンダ人、バタク人、ミナンカバウ人、バリ人…インドネシアは「民族のカタログ」と言っていいくらいの多さ。言語や宗教、伝統文化もそれぞれ違っていて、同じ国でも「別世界」です。
ミャンマーにはビルマ族、カレン族、シャン族、モン族など、フィリピンにはビサヤ人、タガログ人、モロ族など、山や島によって民族がわかれていて、しかも独自の言語や信仰を持っています。
見た目や文化は違っていても、ルーツをたどると大きく分けていくつかの言語・文化グループにまとまっていきます。ここでは代表的な系統を紹介します。
インドネシア、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、東ティモールなどで多数派。数千年前に台湾や中国南部から海を渡って拡散してきたとされ、船に強く、海洋文化が得意な民族グループです。
カンボジア(クメール人)、ラオス、タイ東北部などに分布。アンコール文明やクメール建築を築いた文化的ルーツでもあり、もともとはメコン川流域に広く定住していた民族です。
ミャンマー北部や山岳部、タイ北部、ラオスなどに広がるグループ。高地に住み、独自の言語や生活様式を保ち続けています。都市文化とは違う、自然と密接な暮らしが特徴です。
東南アジアでは、国家の枠組み=民族の枠組みではありません。植民地時代の国境線や統治の影響で、ひとつの国の中に多数の民族が存在しているのが当たり前なんです。
ロヒンギャ問題やカレン族の武装闘争など、民族と国籍、宗教、土地の権利が絡んだ対立が今も続いています。これは「多様性」と「国家の枠組み」のすれ違いによるものです。
マレー系・中華系・インド系が共存するマレーシアでは、民族ごとの経済格差や教育の格差が社会問題化しています。これに対して、ブミプトラ政策(マレー系優遇)などが導入されています。
東南アジア人という言葉の裏には、実に何百もの民族と複雑な歴史が詰まっているんです。ルーツも暮らし方もバラバラだけど、互いに影響し合いながら生きてきた。それこそがこの地域のダイナミズムであり、魅力でもありますね。