
東南アジアは熱帯雨林に恵まれた地域で、生物多様性がきわめて豊かです。でもその豊かな森が、今まさに急速に減少しているって知っていましたか?東南アジアの森林破壊は「無計画な開発と資源依存によって引き起こされた、環境と社会の危機」なんです。 本記事では、なぜ森林が失われているのか、どのような影響が出ているのか、そして各国がどう向き合っているのかを見ていきます。
もともと熱帯雨林が広がっていた東南アジアでは、林業が経済の柱のひとつとして長く続いてきました。木材やパルプ、ゴム、オイルパームなど、森林資源を活用した産業は国の収入源としても重要です。
インドネシアやマレーシアは、熱帯広葉樹(ラワンやチークなど)の生産地として世界的にも有名です。とくに1980年代〜90年代にかけて、日本などの輸入国に大量の木材を供給してきました。
東南アジアの森林は、生態系が豊かなだけでなく、ゴム、樹脂、漢方薬の原料、竹など多彩な資源を生み出します。これらの資源は現地の人々の暮らしと深く結びついており、単なる「輸出品」ではないんですね。
では、そんな大切な森がなぜ減ってしまっているのか。その原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡んでいます。
国際市場向けの商業伐採が1970年代から急増し、伐採のスピードに再生が追いつかなくなりました。さらに違法伐採も横行し、監視の目が届かない森がどんどん消えていったんです。
オイルパームやゴムなどのプランテーション農業のために、森林が大規模に伐採されました。特にインドネシアとマレーシアでは、輸出用の作物を育てるために多くの熱帯林が失われました。
人口が増えて農村→都市への移住が進む中で、インフラや住宅建設のために森林が切り開かれています。都市周辺の森林は特に影響を受けやすいです。
焼き畑農業は伝統的な農法でもありますが、乾燥期の火災や火の管理不足によって大規模な森林火災を引き起こすことも。これが煙害(ヘイズ)の原因にもなっています。
では今、どれくらいのスピードで森林が失われているのでしょうか?数字で見ると、その深刻さがよりリアルに伝わってきます。
これだけの規模で森林が減ると、気候変動や洪水、干ばつといった環境リスクにもつながっていくんですね。
森林が減ると、私たちの暮らしにもさまざまな影響が出てきます。
森林は二酸化炭素を吸収してくれる大切な存在。森林がなくなると、温暖化を加速させる原因にもなります。特に熱帯雨林は「地球の肺」とも呼ばれています。
東南アジアの森には、トラ、テナガザル、サイなど希少な絶滅危惧種がたくさん住んでいます。森林破壊は、彼らの住処を奪い、絶滅の危機をさらに深めます。
森で採れる資源や水、狩猟・漁労で生活してきた先住民や農村住民は、森林破壊によって暮らしの基盤を失いつつあります。社会的な不安や貧困にもつながりやすいんです。
とはいえ、ただ指をくわえて見ているわけではありません。各国や国際社会も森林保全のために動き出しています。
インドネシアでは2011年以降、新規伐採の一時停止(モラトリアム)を発表し、森林保護区域を設定しています。これにより、開発圧力の高い地域での伐採が一定程度抑えられています。
タイでは国家主導で森林再生プロジェクトを進めており、農村部での植林活動も支援されています。持続可能な林業と観光資源の両立を目指しています。
FSC(森林管理協議会)認証など、持続可能な伐採を行っていることを示す国際認証が普及してきています。消費者側の意識も重要で、「どこから来た木材か?」を意識することが求められています。
地域住民やNGOが共同でコミュニティ林業を進める例も増えています。これは、地元の人たちが主体的に森を管理・利用していく仕組みで、暮らしと自然の両立を図る新しいモデルです。
東南アジアの森林破壊は、地球全体に関わる大きな課題です。東南アジアの森林破壊は「無計画な開発と資源依存によって引き起こされた、環境と社会の危機」ということを忘れずに、私たちも身近な選択から行動を変えていくことが大事ですね。木材製品を選ぶとき、商品の産地をチェックするとき、「その先にある森のこと」も想像してみてください。小さな意識が、大きな変化を生む第一歩になります。