
南アジアって聞くと、カラフルな衣装や熱気あるお祭りを思い浮かべる人も多いかもしれませんね。でも、そうした文化の背景には、深〜い宗教の歴史があるんです。ヒンドゥー教、仏教、イスラーム、キリスト教、シク教など…南アジアは世界の主要宗教の交差点とも言える場所。さらに、それぞれの宗教がどこで、どう生まれて、今どこに広がっているのかを見ていくと、この地域がいかに「多様性のるつぼ」かがよく分かるんです。今回は、南アジアの宗教の成り立ちから、現代の宗教分布、特にイスラーム(ムスリム)が多い国について詳しく見ていきましょう!
南アジアって、実はいくつもの宗教の発祥地なんです。ここから始まり、世界中に広まった宗教もあれば、逆に外からやってきて定着したものもあります。
インダス文明やヴェーダ文化を背景に、紀元前1500年頃から形成されたヒンドゥー教は、現在のインドの文化そのものとも言える宗教。神々の姿や祭礼の形は地域によって様々ですが、輪廻やカルマといった考え方は共通です。
紀元前5世紀頃、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)によって始まった仏教は、当初はインド各地で栄えましたが、次第に東南アジアや東アジアへと広がっていきました。現代インドでは少数派ですが、ネパールやスリランカなどでは今も広く信仰されています。
8世紀以降、中東や中央アジアのイスラーム勢力が南アジアへ進出。12世紀にはデリー・スルタン朝、続いてムガル帝国が興隆し、イスラーム文化が政治・建築・食文化にまで深く根づきました。今日ではパキスタンやバングラデシュを中心に多くのムスリムが暮らしています。
シク教は15世紀にパンジャーブ地方で生まれた宗教で、ヒンドゥー教とイスラームの思想を融合した独自の信仰体系を持ちます。ジャイナ教も古代インドで成立した禁欲的な宗教。そしてキリスト教は16世紀にポルトガル人が南インドに布教して以来、少数ながら各地に根付いています。
それでは、今の南アジア各国ではどんな宗教が多数派なのでしょうか?それぞれの国の「宗教の顔」を見てみましょう。
ムスリム人口が多い南アジアの国はどこかというと、数字的にも歴史的にもこの3カ国が圧倒的です。
人口の約97%がムスリムで、まさに「イスラーム国家」。1947年のインド・パキスタン分離独立の時に、「ムスリムのための国」として誕生した背景があります。
こちらも人口の約90%以上がムスリム。パキスタンと一緒に独立した後、1971年に分離独立。イスラーム色は強いけれど、政治的には世俗主義を標榜しています。
国としてはヒンドゥー国家のイメージが強いですが、ムスリム人口が約2億人以上いる世界第3位のムスリム人口国。多宗教国家としての複雑さを象徴している存在です。
イスラームが強い国々では、ヒンドゥー教徒やキリスト教徒の少数派が厳しい立場に置かれることもあります。特にアフガニスタンやモルディブでは、他宗教の信仰や布教が大きく制限されているため、宗教の多様性は見えにくくなっています。
南アジアの宗教史は、「生まれた宗教」と「やってきた宗教」が交差する舞台。現代の宗教分布は、長い歴史の積み重ねと植民地・独立をめぐる政治の影響が色濃く反映された結果なんです。そしてその多様性が、南アジアの文化の奥行きを生んでいるとも言えますね。カレーの味が違うように、信仰のあり方もそれぞれ。宗教というレンズでこの地域を見てみると、また違った世界が見えてくるかもしれませんよ。