
イラクの国旗
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | イラク(Iraq) ※正式名称:イラク共和国 |
首都 | バグダッド(Baghdad) |
人口 | 約4,300万人(2024年推計) |
面積 | 約437,000平方キロメートル |
公用語 | アラビア語、クルド語 |
通貨 | イラク・ディナール(IQD) |
政治体制 | 連邦共和制(議会制民主主義) |
主要宗教 | イスラム教(シーア派・スンニ派)、キリスト教など |
国際的地位 | 中東の産油国として戦略的に重要。かつてのフセイン政権崩壊後も不安定な政情が続く |
建国背景 | 第一次世界大戦後のオスマン帝国崩壊を受け、イギリスの委任統治下に置かれた後、1932年にイラク王国として独立。1958年に共和制へ移行。 |
イラクって聞くと、戦争、テロ、混乱…そんなイメージが先に来ちゃうかもしれません。でも実はこの国、人類最古の文明が生まれた「メソポタミア」の地であり、長い歴史と宗教・文化の交差点という超重要な地域なんです。今回は、そんなイラクの特徴と成り立ちを、地理・歴史・宗教・政治・現代社会の面から、やさしく深掘りしていきましょう!
イラクは西アジア(中東)にある内陸国で、北はトルコ、西はシリア・ヨルダン、東はイラン、南はクウェートとサウジアラビアに囲まれています。首都はバグダッド、人口は約4,300万人。チグリス川とユーフラテス川が国土を流れ、まさに「肥沃な三日月地帯」の中心地にあります。
中部・南部は砂漠気候で雨が少なく、夏はとても暑いです。一方、北部は山が多くて気温もやや低め。水源であるチグリス・ユーフラテス川の存在が、昔からこの土地の農業と文明を支えてきました。
イラクはアラブ人が約75%を占めていますが、北部にはクルド人という独自の民族も多く住んでいます。宗教はイスラム教がほとんどで、さらにシーア派とスンナ派に分かれていて、これが国内対立の原因になることも…。
イラクは「国家」としての歴史は浅いですが、文明の起源としてはメチャクチャ深いんです。いわば、「地球の文明発祥の地」なんです!
今から約5,000年前、シュメール人がこの地で世界最古の都市文明を築きました。文字(楔形文字)もここで発明されて、バビロンやアッシリアといった帝国が次々に興隆。イラクはまさに、人類史の舞台そのものなんです。
7世紀にイスラム教が広がると、イラクはアッバース朝の首都バグダッドを中心に文化と学問の中心地になります。天文学、医学、文学…あらゆる学問がここで花開いたんですよ。
16世紀から20世紀初頭まではオスマン帝国に支配されていましたが、第一次世界大戦後、イギリスの委任統治を経て、1932年にイラク王国として独立。その後、1958年には王政を廃止して共和国化します。
1979年にサダム・フセインが大統領に就任し、独裁体制を確立。1980年代にはイラン・イラク戦争、1990年にはクウェート侵攻(湾岸戦争)など、戦争続きの時代が続きます。
イラクの現代史を語るうえで避けられないのが、2003年のイラク戦争です。アメリカが「大量破壊兵器の存在」を理由に侵攻し、サダム政権は崩壊しました。
でも、その後の政治空白と治安の悪化により、国内は宗派間の対立(シーア派vsスンナ派)や、IS(イスラム国)など過激派の台頭によって混乱の連続に。2010年代には一時、ISがイラクの大部分を占領するという危機的状況にもなりました。
今のイラクは議会制民主主義ですが、宗派・部族・民族の利害が絡み合って安定にはほど遠いのが現実。2021年には反政府デモも大規模に起きるなど、国民の不満は根深いんです。
イラクは石油埋蔵量が世界トップクラスの国。でも、その恩恵が国民に十分届いているかというと、そうでもないんです。
イラク経済の9割以上が石油関連収入に頼っています。そのため、国際価格が下がるとすぐに国家予算がピンチに…。脱石油依存が長年の課題です。
長年の戦争と政治混乱で道路・電気・水道などのインフラがボロボロ。首都でも停電が日常茶飯事という状況で、若者の失業率も非常に高いです。
意外に思うかもしれませんが、イラクには大学教育を受けた若者も多いんです。ただ、それを活かせる雇用や機会がないため、国外への移住を目指す人も少なくありません。
戦争のイメージが強いイラクですが、文化面では文学・詩・音楽など、伝統の豊かさが今も息づいています。
イラク南部のナジャフやカルバラーはシーア派の聖地で、世界中から巡礼者が訪れます。宗教行事は盛大で、信仰は日々の生活と深く結びついています。
北部ではクルディスタン地域政府が独自の自治を行っていて、言語や衣装、音楽など独自のクルド文化が根強く残っています。
厳しい環境の中でも、イラクの人々はもてなしの心をとても大事にしています。お茶をふるまい、旅人をもてなす文化は健在です。
イラクって、ニュースの中の「危険な国」という印象が強いかもしれません。でも、その背後には、人類の文明が始まった土地としての誇りと、混乱の中でも生きる人々の力強さがあるんです。古代から現代へ、激動の歴史をたどってきたイラクを、表面だけじゃなく、もっと深く知ってもらえたら嬉しいです。