
タジキスタンの国旗
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | タジキスタン(Tajikistan) ※正式名称:タジキスタン共和国 |
首都 | ドゥシャンベ(Dushanbe) |
人口 | 約1,000万人(2024年推計) |
面積 | 約143,100平方キロメートル |
公用語 | タジク語(ペルシャ語系) |
通貨 | ソモニ(TJS) |
政治体制 | 共和制(権威主義的傾向) |
主要宗教 | イスラム教(スンニ派が主、少数派にシーア派) |
国際的地位 | 経済的には最貧国の一つ。山岳国家で水資源が豊富 |
建国背景 | 1991年、ソ連から独立。直後に内戦が勃発し、1997年に和平合意。現在も政治的自由は制限されている。 |
タジキスタンって、正直あんまりピンとこない人も多いかもしれません。でも実はここ、中央アジアの高地に位置する「山の国」であり、ペルシャ系文化の最後の砦としての歴史的役割を持っているんです。今回はそんなタジキスタンについて、地理・歴史・民族・政治・経済など、いろんな角度からじっくり掘り下げていきますよ!
タジキスタンは中央アジアに位置する内陸国で、北にウズベキスタン、西にキルギス、南にアフガニスタン、東に中国と接しています。面積は約14万3000平方キロメートルで、日本よりやや小さめ。首都はドゥシャンベです。
国土の約9割が山岳地帯で、特にパミール高原は「世界の屋根」とも呼ばれるほど。標高3000メートル以上のエリアも珍しくありません。気候は乾燥大陸性気候で、夏は暑く冬は厳寒。標高によっては1年の半分が雪に覆われている場所も。
人口の多くはタジク人で、ペルシャ系の言語と文化を持っています。宗教はイスラム教スンナ派が主流ですが、ソ連時代の影響もあって世俗的な傾向が強めです。少数ながらウズベク人やロシア人、キルギス人なども暮らしています。
タジキスタンは、中央アジアの中でもかなり古い歴史を持つエリア。文明の交差点として、数多くの王朝や帝国がこの地を巡ってきました。
タジク人のルーツはサマルカンドやブハラといった古代ペルシャ文化圏にあります。アケメネス朝やサーサーン朝などのイラン系王朝の影響を強く受け、今でもその文化的系譜を守り続けているんです。
8世紀ごろにイスラム教が伝わると、それまでのゾロアスター教文化と混ざり合いながら独自のスタイルを形成。詩人ルーダキーやイブン・シーナーなど、ペルシャ文化の黄金期を支えた人物も多く輩出しています。
19世紀にはロシア帝国の支配下に入り、その後ソビエト連邦の構成共和国に。ソ連時代は工業化と教育の普及が進みましたが、宗教や伝統文化は強く制限されました。
1991年にソ連崩壊とともにタジキスタン共和国として独立。でもその直後、政治的・宗派的対立が激化して1992?1997年に内戦が発生。多くの犠牲者と難民を出しましたが、1997年に和平が成立し、今は比較的安定しています。
独立以降のタジキスタンは、強権的な安定を目指してきました。長期政権が続く中で、政治的な自由や報道の独立性には厳しい現実があります。
1994年からエモマリ・ラフモンが大統領を務めており、事実上の一党支配体制が続いています。選挙では常に圧勝ですが、野党や市民運動は厳しく制限されています。
内戦の教訓からか治安は安定していますが、貧困率の高さや出稼ぎ労働者の多さが課題。多くの若者がロシアなどに出稼ぎに行っていて、国外送金がGDPの3割以上を占めている状態です。
タジキスタンの経済は、決して豊かとは言えませんが、自然資源や水資源に注目が集まっています。
主力は農業と鉱業。特に綿花やアルミニウムの生産が重要です。水資源にも恵まれていて、水力発電がかなりの割合を占めています。
山岳地帯が多くて交通インフラは未整備な部分も多いですが、中国との連携を強める中で道路や鉄道の整備が進行中。一帯一路構想の中で重要な通過点にもなっています。
タジキスタンの人々は、山とともに生きる素朴で粘り強い気質を持っていて、文化面でも誇るべき伝統があります。
公用語はタジク語で、これはペルシャ語の方言。ただしソ連時代に導入されたキリル文字が使われていて、イランとは文字体系が違うという面白さもあります。
タジキスタンの家庭料理はプロフ(ピラフ)やシャシリク(串焼き)、ラグマン(手打ち麺)などが定番。お茶文化も強く、どの家庭でもお茶を囲んでのんびり語らう時間が大切にされているんです。
女性はカラフルな民族衣装アトラスを着ることが多く、特に祝祭や結婚式では華やかな装いが見られます。山岳地帯では、今でも遊牧的な生活をしている人たちもいて、昔ながらの暮らしが根付いています。
タジキスタンって、世界の中ではあまり注目されることが少ないけど、厳しい自然の中でも文化と誇りを守り抜いてきた「山の民の物語」が詰まってる国なんです。内戦を乗り越え、今も粘り強く未来を切り拓こうとしている人々の姿に、ぜひ目を向けてみてくださいね。