
東アジアの地形って、平野や河川だけじゃなくて、実はダイナミックな山脈にも恵まれているんです。そしてその中には、あまりに険しすぎて「魔境」とまで呼ばれるような場所も…。どういうことかというと、東アジアには交通が遮断されるほどの大山脈がいくつもあり、中には伝説や神話が語られるような特別な山域も存在するんです。今回はそんな東アジアの山脈地帯について、地理・歴史・文化の視点から紹介していきます。
まずは東アジア全体の中で、どんな山脈が存在するのかをおさらいしておきましょう。それぞれの国に特徴的な山地がありますよ。
これらの山々は気候の区切りや河川の源流にもなっていて、東アジアの自然環境にとって不可欠な存在です。
さて、本題の「魔境」と呼ばれる山ですが、これは単に「高い山」というよりも、人の立ち入りが難しく、伝説や神秘性を帯びたエリアのことを指すことが多いです。
崑崙山(こんろんさん)は中国西部に広がる巨大な山脈で、中国神話では「西王母」や仙人の住む場所として知られる神秘の地。標高6,000メートル級の峰々が連なり、実際にも非常にアクセスが困難で「地の果て」「死の山脈」と称されることも。
山というより高地帯ですが、チベット高原北部の羌塘(チャンタン)地域も「魔境」と呼ばれることがあります。極端に乾燥し、空気も薄く、地上のどこよりも過酷な環境の一つとされ、神々の住む場所という信仰も根強いです。
長白山(ちょうはくさん)は中国と北朝鮮の国境にある活火山で、朝鮮民族の神話に登場する聖なる山です。山頂には「天池」と呼ばれるカルデラ湖があり、天気や地震によってしばしば「霊山」として語られる存在です。
東アジアでは、古くから山は単なる自然地形ではなく、宗教や文化と結びついた聖域とされてきました。
高くて人の手が届かない場所というのは、古代の人々にとって「神聖な場所」に映りました。実際、道教や仏教では高山に僧や修行者がこもって「悟り」を目指す文化があります。
霧が立ち込めたり、天候が急変したり、野生動物が棲んでいたりと、山には日常とは違う「異界性」があります。だからこそ、昔の人は「あの山には妖怪が出る」とか「仙人が住んでいる」と語ったんですね。
長白山、天山、秦嶺などは、地理的に国や文化圏の境界に位置していることが多く、物語や政治・宗教の象徴として語られるようになりました。
現代においても、こうした山々は単なる観光地ではなく、信仰や自然保護の対象として大切にされています。
日本の北アルプス、中国の黄山、韓国の智異山など、多くの山々は信仰と観光の両面で人々をひきつけています。山岳修行や霊場巡りも今なお行われているんですよ。
一方で、これらの山域は生態系の宝庫でもあり、保護区に指定されていることが多いです。登山者が自由に入れない「立入禁止区域」や「保護区」に指定されている場所もあり、その点でも「魔境」と呼ばれる理由になっています。
東アジアの山脈は、単に高くて険しいだけじゃなくて、そこに神話や信仰、政治的な意味まで重なった「深い存在」なんです。崑崙山や長白山のように、アクセスが難しく神秘性を帯びた場所は、まさに魔境と呼ばれるにふさわしい世界。山に向き合うことで、東アジアの人々が自然とどう関わってきたのかが見えてくるかもしれませんよ。