
東南アジアの大地は、じつは見えないところで常に動いています。というのも、この地域は環太平洋火山帯に属していて、世界でも有数の火山密集地帯なんです。インドネシアやフィリピンなどでは、今も活発に火山が活動していて、ときには大規模な噴火で多くの人に影響を与えることもあります。東南アジアの火山は「地球の内部活動が生み出す自然の脅威であり、同時に大地の恵みの源」なんです。今回は、火山の分布や主な噴火の記録、現在の火山活動の状況について一緒に見ていきましょう!
東南アジアの火山は、海や島々に点在するだけじゃなく、プレートのぶつかり合う境界線に沿って密集しているのが特徴です。
まず、火山が特に多いのはインドネシア、フィリピン、東ティモールなど。これらの国はプレートの境界に位置していて、ユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレート、さらには太平洋プレートの影響を強く受けているんです。
東南アジアで火山が多い国ベスト3は以下のとおり!
インドネシアには「火山列島」と呼べるくらい、スマトラ島・ジャワ島・バリ島・スラウェシ島・ロンボク島などに火山が連なっています。
火山の噴火は、時にその地域だけでなく世界の気候にまで影響を及ぼします。ここでは東南アジアで記録に残る大噴火をいくつか紹介します。
世界最大級の噴火として知られ、1万人以上が死亡。噴煙が成層圏まで達し、翌年の「夏のない年」を引き起こしました。ヨーロッパでも農作物が不作に。
海中の火山噴火で、爆発音が4,800km先でも聞こえたという記録が!巨大な津波が発生し、3万6000人以上が死亡しました。火山の衝撃波が地球を3周したとも言われています。
20世紀最大級の噴火。火山灰が広範囲に降り注ぎ、地球の平均気温を0.5度下げたとされるほど。周辺の村では数万人が避難を余儀なくされました。
火山は怖い存在でもありますが、地域によっては共に生きる知恵も根付いています。恵みと災いが隣り合っているんですね。
火山灰はミネラル豊富で、時間が経つと肥沃な土壌になります。インドネシアやフィリピンの棚田や農地は、実は火山のおかげなんです。
火山地帯では温泉も豊富。バリ島やロンボク島、ベンケット州などでは、温泉リゾートとしても活用されています。
インドネシアのバリ島のアグン山やジャワ島のブロモ山などは、地元の人々にとって神の宿る山として崇拝されており、年に一度の儀式や祭りが行われています。
では、今の東南アジアでは火山はどれくらい活動しているのでしょうか?科学技術の進歩で予測や避難の精度は上がっていますが、課題もまだまだ残っています。
2020年代に入っても、上記のような火山で噴火や警戒レベル上昇が報告されています。
インドネシアではPVMBG(火山地質災害対策センター)、フィリピンではPHIVOLCS(火山地震研究所)が中心となって、監視体制が強化されています。とはいえ、地形が複雑で避難が難しい地域も多く、今後の避難インフラ整備が課題です。
火山災害から身を守るには、地域ごとの避難マップの作成や、防災訓練がカギになります。最近では学校教育やスマホアプリを通じた啓発も広がっていて、地域ぐるみの対応が進められています。
火山は、一見すると怖い存在。でも、東南アジアの火山は「地球の内部活動が生み出す自然の脅威であり、同時に大地の恵みの源」という、相反するふたつの顔を持っているんです。噴火のリスクに備えることと、その土地の恩恵を正しく知ることはセット。これからの火山との共生には、「備え」と「感謝」の両方が必要ですね。