中央アジアの飲み物|人気のお茶やお酒を紹介!

中央アジアを旅すると、まず出会うのが「お茶どうぞ」という温かいおもてなし。寒暖差の激しいこの地では、飲み物が生活文化の一部として深く根付いています。どういうことかというと、中央アジアの飲み物は単なる水分補給を超えて、人と人とをつなぐ「社交の道具」でもあるんです。
この記事では、各国で親しまれている伝統的なお茶や発酵飲料、宗教や風習によるお酒事情まで、中央アジアの飲み物文化をまるっと紹介していきます!

 

 

お茶文化:日常に欠かせないチャイ

中央アジアで「お茶」は単なる飲み物じゃありません。家庭でも、来客時でも、バザールでも。とにかくまずはチャイ、それが合言葉です。

 

グリーンティー派とブラックティー派

カザフスタンやウズベキスタンでは、ふだん飲まれるのは緑茶(緑のチャイ)が主流。でもキルギスやタジキスタンの一部では紅茶が好まれていたりもします。この違い、けっこう面白いんですよね。

 

ピャーラで飲むのが基本スタイル

お茶は、持ち手のない小さなお椀「ピャーラ」でいただくのが伝統的。しかも、もてなす側が注いでは少しだけ飲み、また注いで…と何度もくり返すことで、お互いの距離を縮めていくんです。

 

乳系飲料:遊牧民の知恵がつまった一杯

草原地帯が広がる中央アジアでは、牧畜と切っても切れない関係にある乳製品飲料も主役級の存在。発酵させたり、乾燥させたりと工夫の結晶です。

 

クミス(馬乳酒)

クミスは、発酵させた馬のミルクから作る少しアルコールの入った飲み物。酸味があって、初めての人にはちょっとびっくりかも。でも夏バテ防止や栄養補給にもってこいの健康ドリンクなんですよ。

 

チャル(ラクダ乳発酵飲料)

砂漠の多いトルクメニスタンなどでは、チャルと呼ばれる発酵ラクダ乳も伝統的な飲料。味はクミスよりマイルドで、観光客にも比較的人気だったりします。

 

アイラン(塩入りヨーグルト飲料)

アイランはトルコなどでも知られていますが、中央アジアでも大人気。ヨーグルトに水と塩を混ぜてつくる、さっぱり系のドリンクで、料理と一緒にいただくのが定番です。

 

中央アジアとお酒:飲む?飲まない?

イスラム教圏でもある中央アジアでは、宗教的にお酒は禁止されているイメージがありますが、実際はちょっと事情が違います。

 

旧ソ連文化の影響で意外と飲まれている

たとえばカザフスタンやキルギスなどは、旧ソ連時代の影響が色濃く残っていて、ウォッカやビールが広く飲まれています。年配の方ほど「1日1杯が健康の秘訣」なんて言うことも。

 

ウズベキスタンやトルクメニスタンではやや控えめ

一方で、ウズベキスタンやトルクメニスタンでは、やや保守的な社会背景から、公共の場での飲酒は控えめな傾向があります。それでも都市部や観光地ではワインやビールも手に入りますし、地元産のブランデーなんかも密かに人気。

 

伝統酒アルクィーの存在

カザフやキルギスの遊牧民の間では、アルクィーという手作り蒸留酒もありました。昔は儀式や祭りの時にふるまわれ、今でも一部地域で細々と作られているそうです。

 

現代の人気飲料事情:伝統とトレンドの融合

最近では伝統的な飲み物に加えて、都市部ではいろんな飲料文化が混ざり合ってきています。スーパーに行けば、見慣れたペットボトル飲料から珍しいローカルブランドまで、目移りしちゃうくらい。

 

国産ソーダとエナジードリンク

中央アジア各国では、国産の清涼飲料水も数多く出回っていて、ちょっと甘めのレモネードやベリー風味の炭酸水が人気。最近では若者向けにエナジードリンクも広がっています。

 

チャイ文化×カフェブーム

特にカザフスタンやウズベキスタンの都市部では、カフェ文化がかなり浸透してきていて、伝統的なチャイとラテやエスプレッソが同じ店で出てくるなんてことも。

 

ボトル入りクミスやアイランも

現代化の流れで、クミスやアイランがペットボトル化されてスーパーで売られている姿も見かけます。伝統が便利さと出会った結果ですね。

 

中央アジアの飲み物は、単なる嗜好品じゃなくて、その土地の気候や生活、宗教、歴史までをまるごと映し出す文化の一部なんです。お茶ひとつ、お酒一杯にも意味がある――そんな目線で旅や料理を楽しむと、もっと深く中央アジアを味わえるかもしれませんね。