
中東って聞くと、砂漠や石油のイメージが強いかもしれませんが、実は昔から農業とも深〜い関わりがあるんですよ。つまるところ、中東の農業は「限られた水資源を活かした灌漑農業と、乾燥地でも育つ作物への適応」が特徴なんです。 つまり、厳しい自然条件の中でどうやって作物を育てていくかって工夫の積み重ねが、今の中東農業を形作ってきたというわけです。
まずは中東における「農地」がどんな環境にあるのかを見てみましょう。正直、農業にはかなり過酷な条件なんです。
中東は全体的に乾燥帯に属していて、雨がほとんど降らない地域が多いです。とくにサウジアラビアやクウェート、ヨルダンなどは年降水量が200mm以下のところも…。そんな中でも、わずかな水を活かして農業をやっているのがすごいところ。
農地は、ナイル川流域やチグリス・ユーフラテス川周辺など、水のある場所に集中しています。エジプトではナイル川なしでは農業が成立しないと言われるほど。オアシスや地下水を活用した灌漑農業も広く行われています。
水が少ない=水をどう使うかが勝負。だからこそ、中東では昔から灌漑技術が進化してきたんです。
イランやアフガニスタンでは、地下にトンネルを掘って水を導くカナート(カレーズ)という技術が使われてきました。これは蒸発を防ぎながら遠くまで水を届ける、まさに砂漠の知恵!
最近では、地下水をポンプでくみ上げてスプリンクラーなどで散水する方式が一般的。サウジアラビアでは、まるで円形の緑の模様のような「センターピボット農法」が衛星写真で有名になっています。
では実際に、そんな厳しい環境の中で育てられている作物にはどんなものがあるのでしょうか?意外と種類が豊富なんですよ。
どれも乾燥に強い品種や、収穫後に長期保存が効くものが多いのが特徴。これは気候的な条件に対応した結果とも言えます。
ナツメヤシ(デーツ)は中東の至るところで見かける果実。栄養価が高く、ラマダーン中の栄養補給源としても重宝されています。水が少なくても育ちやすいので、砂漠でも重要な作物です。
ナイル川デルタで育つエジプト綿は、繊維が長くて柔らかいのが特徴。高級な寝具や衣料品に使われる、世界的にも有名なブランド綿なんですよ。
もちろん順調なことばかりではなく、中東の農業は今もいろんな課題と向き合っています。
一番の問題はやっぱり水の確保。川の上流と下流の国で水の取り合いが起きたり、気候変動で干ばつが増えたりと、農業を取り巻く環境は年々厳しくなってきています。
中東の多くの国は、穀物などの主食を輸入に依存しています。特に湾岸諸国では農地が少なく、輸入に頼るしかないという現実もあるんですね。
中東の農業って、砂漠地帯でもたくましく作物を育てる工夫がぎっしり詰まっていて、水が限られた中での「生きるための知恵」が色濃く反映されたスタイルなんです。乾いた土地に芽吹く一粒の小麦にも、実は長い歴史と努力があるって思うと、食べ物の見方もちょっと変わってきますよね。