クウェートの特徴と成り立ち

クウェートの国旗(緑・白・赤の三色に黒い台形)

クウェートの国旗

出典:Wikimedia Commonsより

 

国の基本情報

国名 クウェート(Kuwait)
※正式名称:クウェート国
首都 クウェート市(Kuwait City)
人口 約430万人(2024年推計)※外国人労働者を含む
面積 約17,800平方キロメートル
公用語 アラビア語
通貨 クウェート・ディナール(KWD)
政治体制 立憲君主制
主要宗教 イスラム教(スンニ派、シーア派)
国際的地位 豊富な石油資源を背景に高所得国家。1990年にはイラクによる侵攻を受けた
建国背景 1961年、イギリスの保護国から独立。湾岸戦争(1990〜91)を経て現在に至る。

 

クウェートという国、名前は聞いたことあるけど「石油がある中東のどこか…?」くらいのイメージじゃないですか?でも実は、ペルシャ湾の小さな王国ながら、世界有数の“超富裕国”であり、湾岸戦争の舞台にもなった歴史と戦略性を併せ持つ、かなり個性的な国なんです。今回はそんなクウェートについて、地理や歴史、政治、経済、文化までしっかりご紹介していきます!

 

 

クウェートの地理と基本情報

クウェート西アジア(中東)、ペルシャ湾に面した小さな国で、北にイラク、南にサウジアラビアと接しています。面積は四国より少し小さいくらいで、首都はクウェート・シティ。人口は約450万人ほどですが、そのうちクウェート国籍を持つ人は3割以下。多くは外国人労働者なんです。

 

自然と気候

・国土は平坦で乾燥した砂漠地帯が中心
・気候は典型的な砂漠気候で、夏は50度近くになることも
・雨はほとんど降らず、水は海水淡水化や地下水に依存

 

民族構成と宗教

国民の大半がアラブ系スンニ派イスラム教徒ですが、シーア派も一定数います。外国人は南アジアや東南アジア出身者が多く、社会は多民族的ですが国籍取得は極めて困難

 

クウェートの歴史と成り立ち

クウェートの国としての歴史は比較的新しいけど、地理的な要所として交易や侵略の舞台になってきたんです。独立までのプロセスも、部族・帝国・大国の思惑が入り乱れてて面白いですよ。

 

遊牧と海洋交易の要所

もともとはベドウィン系部族と海洋交易を担う人々が暮らす土地でした。18世紀にサバーハ家が支配を確立し、現在まで王制を維持しています。真珠や貿易で繁栄した港町でもありました。

 

オスマン帝国とイギリスのはざまで

19世紀にはオスマン帝国の影響下にありながらも、イギリスと保護条約を結んでバランスを取り、事実上の自治を維持していました。列強に囲まれても上手に立ち回るしたたかな外交センスが光ります。

 

独立と石油発見

1961年にイギリスの保護から独立。その前後に巨大な油田が発見され、一気に世界の“超富裕国”入り。クウェート政府は早期から石油収入を社会福祉や教育に投資し、高い生活水準を実現しました。

 

湾岸戦争と再建

1990年、隣国イラクのフセイン政権がクウェートに侵攻・占領。これが湾岸戦争の引き金となります。1991年に多国籍軍の介入で解放されたものの、戦後の復興には多大な努力が必要でした。

 

政治体制と国際的立場

クウェートは立憲君主制を採用しており、王族(首長)が国の最高権力を持ちながらも、中東でも比較的議会制が機能している国でもあります。

 

王族と議会のパワーバランス

首長(アミール)はサバーハ家から選ばれます。国民の中には選挙で議員を選ぶ権利もあり、他の湾岸諸国より政治参加の余地が大きいのが特徴です。とはいえ、最終決定権は王族が握っています。

 

女性の政治参加

2005年には女性の参政権が認められ、議員として活躍する女性も登場。湾岸諸国の中でも比較的リベラルな社会と言えます。

 

外交と国際援助

クウェートは中立的な外交方針をとりつつ、国際支援にも積極的です。クウェート基金を通じて、開発途上国への支援や災害援助を行うなど、「小さな大国」としての存在感を発揮しています。

 

 

クウェートの主な特徴一覧
  • ペルシャ湾沿いの小国ながら世界有数の石油大国
  • サバーハ家による王政と比較的機能する議会制が共存
  • 湾岸戦争の舞台となった歴史を持つ
  • 高福祉国家で医療・教育は基本無料
  • 女性の参政権が認められている
  • 国際支援にも積極的な「小さな大国」
  • 外国人労働者が人口の7割を占める多国籍社会

 

 

経済と社会の実情

石油で潤う国家、というイメージの通り、国家収入の9割以上が石油に依存しています。ただし、近年はその依存からの脱却と経済多角化も模索しています。

 

豊かな社会福祉

教育・医療・住宅手当など、クウェート国民に対する支援は手厚いです。電気・水道も格安。とはいえ、外国人には適用されないため、格差も存在します。

 

外国人労働者と課題

建設・サービス業などを担う外国人労働者が人口の大半を占めるクウェートでは、社会的融合労働環境が常に課題。労働ビザや在留資格の制限も厳しく、しばしば国際的な批判を受けます。

 

経済改革と未来像

「クウェート・ビジョン2035」という国家計画のもと、観光、金融、再生可能エネルギーなどへの投資が進められています。若者世代の活躍がカギになりそうですね。

 

文化とアイデンティティ

海と砂漠の文化が混ざった独自のアイデンティティをもつクウェート。湾岸諸国の中では文学・演劇・メディア文化も特に盛んで、「アラブの知的都市」としての顔もあるんですよ。

 

伝統と現代の共存

ディワニーヤと呼ばれる男性たちの集会所文化は健在。一方で、ショッピングモールやカフェ、アートイベントも盛んで、伝統と現代がいい感じに共存しています。

 

文学とメディアの力

中東の中でも出版・演劇・テレビの文化が根付いていて、作家や詩人も多く輩出。ニュースや政治評論が盛んなことも、議会制の土壌が関係しています。

 

食文化と暮らし

マチブース(スパイス炊き込みご飯)や、デーツ、魚料理などが定番。インド料理やレバント料理の影響も大きく、外国人の多さ=食の多様性にもつながっています。

 

クウェートは、派手さはないけど「小さくて強い国」って感じなんです。石油で豊かになっただけじゃなくて、湾岸戦争を乗り越えてきた強さもあるし、人道支援や議会制を通じて国際社会とのつながりを大事にしてる。その姿勢は、他の中東諸国ともまた違った魅力がありますよね。