中東の歴史|古代〜現代までの歩みを年表でわかりやすく

中東の歴史って、なんだか壮大すぎて「どこからどう見ればいいの?」って迷っちゃいませんか?実際、中東の歴史は「文明のゆりかご」から始まり、「列強の介入」と「資源をめぐる争い」がその後の大きなテーマなんです。この記事では、そんな中東の歴史を、古代から現代までざっくりと流れで追いながら、主要な時代ごとの特徴を見ていきますね。

 

 

古代:文明の始まりと帝国の興亡

中東は、人類史の中でも最も古くから文明が栄えた地域です。いわば「人類の歴史が始まった場所」と言っても過言じゃないんですよ。

 

メソポタミア文明とエジプト文明

チグリス川とユーフラテス川のあいだに広がったメソポタミア地方では、紀元前3000年ごろから都市文明が登場しました。シュメール人がくさび形文字を発明し、バビロニアやアッシリアといった王国が交代で支配していきました。西側ではナイル川流域にエジプト文明が誕生し、ピラミッドやヒエログリフ(神聖文字)といった文化を残しました。

 

ペルシア帝国の登場

さらに東に目を向けると、今のイランあたりにはアケメネス朝ペルシアが登場。ダレイオス1世の時代には、ギリシャと戦いながらも巨大帝国として君臨していました。この地域の人々は、古代から政治と宗教、文化の中心として大きな役割を果たしていたんです。

 

中世:イスラームの拡大と文化の黄金期

7世紀に入ると、中東は宗教的にも政治的にも大きな転換点を迎えます。イスラム教の誕生と、それに続く急速な拡大が時代を一変させました。

 

イスラーム帝国の拡大

ムハンマドがイスラム教を創始したのは7世紀初め。彼の死後、その教えはアラビア半島を超えて、中東、北アフリカ、中央アジア、果てはイベリア半島まで一気に広がります。ウマイヤ朝、アッバース朝といった王朝が続き、バグダードやダマスカスといった都市が文化や学問の中心地として栄えました。

 

十字軍とモンゴルの衝撃

中世ヨーロッパの十字軍は、エルサレムを巡る聖地戦争として中東に介入。これにより、イスラーム勢力とキリスト教勢力が激しく衝突する時代になります。さらに13世紀にはモンゴル帝国の侵攻が中東全域を揺るがしました。

 

近世:オスマン帝国とペルシャの対立

中東の勢力図が再編されるのは、15〜16世紀。ここで登場するのが、ヨーロッパとも直接対峙した強大なイスラーム帝国です。

 

オスマン帝国の拡大

トルコ系のオスマン帝国は、1453年にコンスタンティノープルを征服して以降、地中海からアラビア半島、北アフリカに至る広大な領土を支配します。中東ではスンニ派の中心勢力として長く影響力を持ち続けました。

 

サファヴィー朝との宗派対立

一方、今のイランを拠点にしたサファヴィー朝はシーア派を国教として打ち出し、オスマン帝国としばしば対立。ここで現在のイランとアラブ圏との宗派の分断のルーツが形づくられていきます。

 

近代:列強による分割支配と独立運動

19世紀から20世紀初頭にかけて、中東はヨーロッパ列強の「利権の宝庫」として注目され、介入が進んでいきました。

 

スエズ運河と石油利権

とくにスエズ運河(1869年開通)はイギリスにとってインドへの最短ルートであり、戦略的に超重要ポイント。加えて20世紀に入ると、中東での石油資源発見が、列強の思惑をさらに複雑にしました。

 

第一次世界大戦と中東の再編

オスマン帝国が第一次世界大戦で敗北すると、中東はイギリス・フランスによってサイクス=ピコ協定のもと分割統治されます。これが現代の国境線を引くベースになり、後の混乱の火種にもなっていくんです。

 

現代:石油、紛争、そしてアラブの春

第二次世界大戦後、次々と中東の国々が独立を果たしますが、その後も安定にはほど遠い道のりが続きました。

 

パレスチナ問題と冷戦構造

1948年のイスラエル建国をめぐる問題は、今なお続くパレスチナとの対立を引き起こしました。中東戦争、難民問題、宗派対立…冷戦時代はアメリカとソ連の代理戦争の舞台にもなりました。

 

21世紀の新しい動き

2010年ごろからのアラブの春では、民主化を求める動きがチュニジアからエジプト、シリアなどに広がり、中東情勢に新たな波が訪れました。一方で、内戦やテロ組織の台頭、イランとサウジの代理戦争など、新たな火種も生まれています。

 

古代〜現代にかけての歴史年表

主な出来事・王朝
前3500年頃 メソポタミアにシュメール文明誕生(都市国家ウル、ウルク)
前2334年 アッカド帝国成立(サルゴン大王)
前1792年 バビロン第1王朝(ハンムラビ王、法典制定)
前911年 アッシリア帝国が拡大を開始
前626年 新バビロニア(カルデア人)がアッシリアを滅ぼす
前539年 アケメネス朝ペルシア(キュロス2世)、バビロン征服
前330年 アレクサンドロス大王、中東征服(ペルシア滅亡)
前141年 パルティア帝国がメソポタミアを支配
224年 サーサーン朝ペルシア成立(アルダシール1世)
610年 ムハンマドが預言を受ける(イスラームの始まり)
622年 ヒジュラ(ムハンマドがメディナへ移住)
661年 ウマイヤ朝成立(ダマスカスを首都に)
750年 アッバース朝成立(バグダード建設)
1258年 モンゴル帝国、バグダードを陥落させアッバース朝滅亡
1299年 オスマン帝国の起源(オスマン1世)
1453年 コンスタンティノープル陥落(オスマン帝国が東ローマ滅ぼす)
1798年 ナポレオン、エジプト遠征(西欧の影響拡大)
1839年 タンジマート改革開始(オスマンの近代化)
1916年 サイクス・ピコ協定(英仏の秘密分割案)
1917年 バルフォア宣言(ユダヤ人国家支持)
1920年 セーヴル条約、オスマン帝国解体
1922年 トルコ共和国成立(ムスタファ・ケマル)
1948年 イスラエル建国、第一次中東戦争
1967年 第三次中東戦争(六日戦争)
1979年 イラン革命(ホメイニ体制)、エジプト=イスラエル平和条約
1990年 湾岸戦争(イラクがクウェート侵攻)
2003年 イラク戦争(アメリカがサダム・フセイン政権を打倒)
2010年 アラブの春(民主化運動拡大)
2020年 アブラハム合意(イスラエルとUAE・バーレーンが国交樹立)

 

中東の歴史を振り返ると、「文明の起源」から始まり、「外部勢力の介入」と「資源をめぐる利害」が時代ごとのキーワードになっているんです。文化の豊かさと戦争の激しさが表裏一体のこの地域、知れば知るほど世界の仕組みが見えてくるような気がしますよね。中東を語るには、やっぱり歴史からのアプローチが欠かせません。