中東の香水文化|「きつい」と感じる人もいる理由

中東に旅行した人や中東系の香水を試したことがある人が、よく口にするのが「香りが強い!」という感想。実際に香水瓶のひと吹きで部屋にふわっと広がる濃厚な香り…。つまるところ、中東の香水文化は「宗教・気候・社交性」の影響を強く受けた、非常に歴史深いライフスタイルの一部なんです。今回はその歴史や特徴、「なぜきついと感じるのか」まで、わかりやすく見ていきましょう!

 

 

古代から続く「香りの文化」

中東では何千年も前から香料が使われてきました。宗教儀式に使われたのがはじまりで、やがて生活の中にも深く浸透していったんです。

 

香料の始まりは神への捧げもの

古代メソポタミアやエジプトでは、乳香(フランキンセンス)や没薬(ミルラ)などの樹脂が神殿で焚かれていました。煙とともに立ち昇る香りが、神と人をつなぐものと信じられていたんですね。

 

イスラム文化での発展

イスラム教が誕生してからは、クリーンでいることが重要視されるようになり、香り=清潔感と結びつきました。モスクに行く前やお祈りの前に香水をつける習慣が広まり、香水は精神的な意味合いも持つようになります。

 

なぜ「香りが強い」と感じるの?

中東の香水が「きつい」と感じられる理由には、実はちゃんとした背景があるんです。文化や環境がそうさせているんですね。

 

高温多湿に負けない香り

中東は暑くて乾燥した気候なので、軽やかな香りだとすぐに飛んでしまうんです。だから、オイルベースで濃厚に香るものが好まれました。日本のような湿気の多い場所で使うと「香りすぎる」と感じてしまうのも無理はありません。

 

香りは「自己表現」

中東では服装に制限がある分、香りで個性や存在感を表現する文化があります。挨拶でハグやキスをすることも多いので、「近距離戦」にも負けない香りの強さが必要だったともいえます。

 

中東ならではの香水の特徴

中東の香水は、西洋のそれとはひと味もふた味も違います。香料の種類から使い方まで、個性が際立っているんですよ。

 

ウード(沈香)が主役

ウード(Oud)は、東南アジアの沈香の木から採れる希少な香料で、中東では高級香水に欠かせない存在。濃厚でスモーキーな甘さがあり、独特の官能性があります。中にはウードそのものを炊いて、部屋や衣服に香りを移すことも。

 

アルコールフリーの香油文化

中東ではアルコールを避ける宗教的配慮から、アルコールを使わない「アター」と呼ばれる香油も人気。これは肌に直接塗るタイプで、より肌なじみが良く、持続性も抜群なんです。

 

香りを「まとう」暮らしの一部

中東では、香りは特別な日のものではなく、日常生活の一部として溶け込んでいます。

 

家庭や空間にも香りを

香水だけでなく、バフールという香木を炊いて部屋の空気を整えたり、衣類やカーテンに香りをしみ込ませたりする文化もあります。おもてなしの意味で来客の衣服に香りを焚きつける家庭もあるほど。

 

贈り物としての香水

香水や香油は中東では高級な贈り物として定番。婚約祝いや出産祝い、商談など、あらゆる場面で香りが登場します。まさに「香りの文化」が息づいているんですね。

 

中東の香水文化は、香りを通して清潔さや美意識、信仰、社交性を表現するライフスタイルの一部なんです。だからこそ香りが強くても、それは「悪目立ち」ではなく「自己表現」として受け入れられているわけですね。強い香りの裏側にある、深い歴史や背景を知ると、その印象もきっと変わってくるはずです。