中東の気候
中東の気候についてまとめています。
乾燥気候
東アジアがしばしば湿潤アジアと呼ばれるのに対し、西アジア(中東)は乾燥アジアと呼ばれることがあります。アラビア半島を巨大な長靴に見立てた場合、爪先に相当する部分を北回帰線(北緯23.5度の緯線)が通過します。この北回帰線の周辺は乾燥気候地域であり、中東の広い地域がこの気候帯に属しているのです。
乾燥気候地域の特徴
- 雨がめったに降らず、砂漠が広い面積
- 寒暖差がある(夏は最高50度まで上がる一方、冬は氷点下まで下がり、積雪がみられるような地域がある)
- 遊牧がさかん
- 乾燥農法・オアシス農業による小麦、オレンジ類、ナツメヤシなどの栽培生産がさかん
- 年間通して強い季節風が吹いていて、時期によっては視界が非常に悪くなる
地中海性気候
中東全土が乾燥気候地域というわけではありません。カスピ海南部を通る、北緯40度線の地域は温帯気候地域にあたり、乾燥気候地域に次いで広い面積を占めています。温帯気候の中でも、地中海沿岸からカスピ海南部にかけては地中海性気候が支配的です。
地中海性気候地域の特徴
- 年間通して高温多湿で気温の変化が少ない
- 地中海性気候を活かした農耕(地中海式農業など)により、小麦、ナツメヤシ、オリーブ、オレンジ類などの栽培生産がさかん
中東の気候と環境問題
中東は乾燥帯気候が広く支配しているので、元々砂漠で覆われた部分は多いです。しかし今は砂漠になってしまった、昔は緑豊かで肥えた土壌だった地域も多くあります。緑豊かな場所が不毛な地と化してしまう「砂漠化」が進行した原因としては以下のような点が挙げられます。
中東の砂漠化の原因
- 過剰放牧、耕作などで土壌が乾いていった。
- 河の上流の森林を過度に伐採したことで、洪水が発生しやすくなり、下流の表土を流し去ってしまった。(水食)
- 灌漑(かんがい)によって塩類が表面に集積してしまった。
- 上流からアルカリ性の土砂が流れ込み、植物が生育しにくくなった。
- 植物が少なくなることで、風で土が飛ばされた。(風食)
砂漠化の問題点
砂漠化が招く問題点としては以下のような例が挙げられます。
食糧不足
まず土地が痩せていくということは、食糧となる農作物を栽培できるエリアが減少していくことを意味します。中東は人口増加率で世界上位にある地域の一つですが、砂漠化の進行で農耕地が減り、飢餓が問題となっています。
生態系破壊
砂漠化で緑が減るということは、そこを基盤として生活する生物も減り、生態系が破壊されていきます。砂漠化により絶滅した生物も少なくありません。
国際的な取り組み
中東に限らず砂漠化は世界的な現象です。1996年12月には国連で砂漠化対処条約が発行され、2014年の時点で195のグループ、国が加盟しています。