
イランの国旗
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | イラン(Iran) ※正式名称:イラン・イスラム共和国 |
首都 | テヘラン(Tehran) |
人口 | 約8,800万人(2024年推計) |
面積 | 約1,648,000平方キロメートル |
公用語 | ペルシャ語(ファールシー) |
通貨 | イラン・リアル(IRR) |
政治体制 | イスラム共和制(最高指導者による統治) |
主要宗教 | イスラム教シーア派(国教) |
国際的地位 | 中東の地域大国であり、石油資源が豊富。核開発問題をめぐって国際的緊張が続く |
建国背景 | 1979年のイラン革命によりパフラヴィー王朝が倒され、イスラム指導者ホメイニを中心とするイスラム共和制が樹立された。 |
イランって聞くと、「中東の国」「イスラム教の国」「アメリカと仲が悪い」みたいなイメージを持ってる人、多いんじゃないでしょうか。でも実はイランって、世界でも屈指の「古代文明の後継者」であり、現代でも独自路線を貫くユニークな国家なんです。歴史の深さも、文化の豊かさも、政治体制の独自性もハンパじゃない。今回はそんなイランの成り立ちと特徴を、地理・歴史・宗教・政治・社会など多方面から探ってみましょう!
イランは西アジアにある内陸国で、カスピ海とペルシャ湾に挟まれた場所にあります。面積は日本の約4倍で、人口は約8,800万人。首都はテヘラン。多くの人がペルシャ語(ファールシー)を話し、アラビア語とは全く別の言語なんですよ。
山も砂漠もある起伏の激しい地形で、雨は少なめ。夏はとっても暑く、冬は内陸部でけっこう冷えます。地震も多く、日本と同じく地震大国として知られています。
多数派はペルシャ人ですが、クルド人・アゼルバイジャン人・バローチ人など多様な民族が共存しています。公用語はペルシャ語ですが、地方では複数の言語が日常的に使われています。
イランは、かつて「ペルシャ」として世界に名を馳せた超古代文明の国。アケメネス朝、サーサーン朝など、数々の帝国が生まれました。
紀元前6世紀、キュロス大王が築いたアケメネス朝は、古代最大級の帝国として、エジプトからインドまでを支配。寛容な支配と多民族共存で評価されたんです。
7世紀にはイスラーム帝国(アラブ人)によって支配され、イスラム教が浸透。以降もセルジューク朝、サファヴィー朝、カージャール朝など多くの王朝が続き、独自のペルシャ文化×イスラム教というハイブリッドな社会が形作られました。
20世紀初頭、レザー・シャーが王政(パフラヴィー朝)を築き、西洋化・近代化を推進しました。首都には鉄道や大学が整備され、女性の服装も自由化されていきます。
けれども、その近代化路線が一部の人々にとっては「イスラームの伝統を壊す」ものと映り、ついにホメイニ師率いるイスラム運動が爆発。これがイラン革命です。そしてその結果、王政が倒れ、世界初の「イスラム共和国」が誕生したんです。
イラン最大の特徴といえば、この宗教と政治ががっつり結びついた体制。普通の民主主義国家とはかなり違います。
イランはシーア派イスラム教を国教とし、最高指導者(ハメネイ師)という宗教的リーダーが国家の最上位に君臨しています。つまり、大統領は選挙で選ばれても、最終決定権は宗教指導者にあるっていう特殊な構造なんです。
イスラム教には大きくスンナ派とシーア派がありますが、イランは世界最大のシーア派国家。この違いが、サウジアラビアなどスンナ派中心の国々との宗教的・政治的対立にもつながっています。
女性のヒジャブ着用義務や、男女の行動規範、飲酒の禁止など、宗教に基づく厳しいルールが存在します。違反すると宗教警察に取り締まられることも。
イランは資源大国としても知られ、特に石油と天然ガスが豊富。でも政治体制や外交方針のせいで、なかなか活かしきれていない面も…。
イランは長年にわたってアメリカやEUからの経済制裁を受けています。特に核開発をめぐっては国際社会との対立が深く、経済の足かせになっているんです。
欧米と距離を置く一方で、イランは中国・ロシアと経済・軍事面で協力を深めています。特に中国とは「一帯一路」構想の中で重要なパートナーとして見られています。
通貨不安やインフレ、失業率の高さなど、庶民の生活はけっこう厳しい状況。とはいえ、市場やバザールは活気があって、人々の生活力もなかなかのものなんです。
イランの文化は、アラブとはまた違ったペルシャ独自の美学があふれてます。建築、詩、絨毯、映画…そのどれもが芸術的で洗練されています。
詩人ハーフェズやルーミーの詩は、今でも人々の心に生きていて、家庭や日常の中でも愛されています。言葉に対する感性がとても豊かなんです。
宗教的制限はありますが、女性の教育・政治参加も進んでいて、大学生の過半数は女性。中には国会議員や医師、映画監督として活躍する人も多いんですよ。
イラン映画は、世界の映画祭で常連。アッバス・キアロスタミやジャファル・パナヒなど、社会の矛盾や人間の内面を静かに描く作風が高評価されています。
イランという国は、一見すると「閉ざされた宗教国家」に見えるかもしれないけど、実際には深い歴史と豊かな文化、そして葛藤と挑戦を抱える非常に「動きのある国」なんです。ペルシャの誇りと、イスラームの信念、そして現代社会との板挟み。そのすべてが、今のイランを作り上げているんですね。