中東の貨幣史|古代〜現代にいたる通貨変遷とは?

中東って、文明の発祥地でもあるし、交易の要でもあるし、なんかお金の歴史もすごそう…って感じしませんか?つまるところ、中東の貨幣史は「文明の発展」「帝国の支配」「宗教の影響」と密接に絡みながら、時代ごとに大きく姿を変えてきたんです。この記事では、古代から現代までの通貨の歩みをざっくりたどってみましょう!

 

 

古代:貨幣のはじまりと物々交換

中東は貨幣以前の時代から、経済活動が非常に盛んだった場所。最初は物と物の交換、つまり「物々交換」がメインだったんですね。

 

メソポタミアでは銀が基準だった?

メソポタミア文明では、紀元前3000年ごろから銀の重さを基準に価値を計る「銀本位制」っぽい形がすでに使われていました。貨幣というよりは、銀塊や麦などを重さで交換していたイメージですね。

 

初期のコイン文化の登場

コイン(鋳造貨幣)が登場するのはもう少し後。紀元前7世紀のリディア王国(今のトルコ西部)が世界最古の硬貨を発行したと言われています。その流れが中東にも広まり、徐々に「モノではなく通貨でやり取りする」文化が根付いていきました。

 

古典古代:ペルシャとローマの貨幣

広大な帝国のもとでは、共通の通貨が整備され、長距離交易がますます活発に。その中心にいたのが、ペルシャとローマの勢力です。

 

アケメネス朝ペルシャの「ダリク金貨」

ダレイオス1世の治めたアケメネス朝では、金貨「ダリク」と銀貨「シグロス」が発行されました。これは帝国内の統一通貨として機能し、交易や徴税に使われていたんですよ。

 

ローマ帝国の進出とデナリウス

地中海の東側にまで拡大したローマ帝国は、今のレバノンやシリアのあたりまで影響を広げており、「デナリウス銀貨」などが流通していました。こうした通貨の安定が交易の安全を支えていたんです。

 

中世:イスラーム世界のディナールとディルハム

イスラム教の成立とともに、貨幣制度にも大きな転換がやってきます。イスラーム世界では、独自の通貨体系が確立されていくんです。

 

金のディナール、銀のディルハム

ウマイヤ朝やアッバース朝では、それぞれ金貨「ディナール」・銀貨「ディルハム」が鋳造されました。これらはイスラム教の戒律に基づいて設計されており、偶像(人物像など)は刻まれず、代わりにコーランの文言などが書かれていました。

 

信用と統一の象徴としての貨幣

この時代、貨幣は単なる「モノの値段を表す道具」ではなく、信仰・権威・統治の象徴としての役割も担っていたんです。ちゃんとした貨幣が出回っているかどうかが、国家の安定性を測るバロメーターにもなっていました。

 

近世〜近代:帝国支配とヨーロッパの通貨影響

オスマン帝国やヨーロッパ列強が中東に進出する時代には、さまざまな通貨が入り混じるようになりました。

 

オスマン帝国のアクチェとリラ

オスマン帝国では、最初は銀貨「アクチェ」が使われ、その後「クルシュ」、さらにリラへと移り変わっていきます。このリラは現在のトルコでも単位として残っています。

 

ヨーロッパ列強による通貨支配

19世紀以降、イギリスやフランスの植民地支配のもと、現地通貨に加えて英ポンドやフランス・フランなども流通するようになります。各地で貨幣制度がバラバラになり、混乱も生まれました。

 

現代:それぞれの国の独自通貨へ

第二次世界大戦後、多くの中東諸国が独立を果たし、それぞれ独自の通貨を発行するようになりました。とはいえ、地域間での呼び名や構成は今でもどこか似ています。

 

「ディナール」と名のつく通貨が多い

今でもイラク・ヨルダン・アルジェリア・バーレーン・クウェートなどでは、「ディナール」が通貨単位として使われています。これは中世イスラーム世界の名残ですね。

 

米ドルとのペッグ制も多い

湾岸諸国では、米ドルと連動(ペッグ制)した通貨が使われていて、為替レートの安定を図っています。たとえばサウジアラビア・カタール・UAEなどでは、米ドルにほぼ固定されたレートで自国通貨を維持しているんですよ。

 

 

中東の主な現行通貨一覧
  • サウジアラビア:リヤル(SAR)
  • イラン:リアル(IRR)
  • イラク:ディナール(IQD)
  • UAE:ディルハム(AED)
  • ヨルダン:ディナール(JOD)
  • トルコ:リラ(TRY)
  • レバノン:ポンド(LBP)

 

通貨の歴史は、権力と文化の鏡

中東の貨幣史をざっと見てみると、「お金」って単なる道具じゃないんだなって思えてきますよね。

 

文字とデザインが伝えるメッセージ

中東の通貨は、ときに神の言葉を刻み、ときに皇帝の威光を表し、ときに独立国家の誇りを映し出してきました。まさに時代と文化の「顔」とも言える存在です。

 

これからはデジタル通貨の時代?

最近では中央銀行デジタル通貨(CBDC)への関心も中東各国で高まってきています。次の時代の「貨幣革命」は、またこの地から始まるのかもしれませんね。

 

中東の貨幣史は、通貨のかたちを通して、時代ごとの「価値観」や「権力のあり方」が映し出されてきたという点でとても興味深いんです。古代から現代まで、単なるお金の話にとどまらず、文化や宗教、政治がぎゅっと詰まってるんですよね。