
南アジアと聞いてまず思い浮かべるのは、インドの広大な土地やネパールのヒマラヤ山脈かもしれません。でも、地形で注目したいのは北部に広がる巨大な平野地帯なんです。この平野、ただ広いだけじゃなくて、気候や農業、人口分布、都市の発展にまで大きな影響を与えてきた存在なんですよ。今回は、この南アジア北部に広がる平野の正体と、それが人々の暮らしや歴史にどんなインパクトを与えてきたのかを、じっくり探っていきましょう!
南アジアの地形を語るうえで欠かせないのが、インダス川とガンジス川に沿って形成された広大な沖積平野。これが、南アジアの「心臓部」とも言える存在なんです。
この平野はパキスタン東部のインダス川流域から、インド北部のガンジス川流域、そしてバングラデシュ全域にかけて広がる巨大な地形。東西に3000キロメートル以上にも及ぶ、世界でも有数の大規模な平野地帯です。
沖積平野とは、氾濫を繰り返す川が長年にわたって土を運び、堆積させてできた土地のこと。つまり、この平野は何千年もかけて自然が作った「超栄養たっぷりな土壌」なんです。
水がある・土が肥えてる・地形がなだらか・・・この三拍子が揃った平野は、農業に最適。だから昔から人が集まり、村や町、やがて都市ができていったんですね。まさに「文明のゆりかご」とも言える場所です。
この平野があったからこそ、南アジアは今日のような農業中心の国々として発展してきたんです。
主に稲作と小麦が中心。ガンジス川流域では雨季にあわせたモンスーン水稲が栽培され、インダス川流域では灌漑を利用した乾期の小麦生産が盛んです。そのほかにも豆類、サトウキビ、綿花など、商業作物もたっぷり育ちます。
1960年代〜70年代にかけて行われた「緑の革命」も、この平野地帯が中心。灌漑・化学肥料・品種改良を導入したことで、インドやパキスタンの農業生産量が飛躍的に伸びたんです。
今でもこの平野地帯は、インドやバングラデシュの人口の4割以上を支える食料の供給地。逆にここで洪水や干ばつが起きると、国全体の経済や食料事情が一気に不安定になることも…。
この豊かな平野があったからこそ、南アジアの人口密度や都市の形成も大きく左右されてきました。
農業に適していて、川があって、交通にも便利。そんな理由から、この平野地帯には人口が密集しています。特にバングラデシュやウッタル・プラデーシュ州(インド)は、世界でもトップクラスの人口密度を誇ります。
デリー、カトマンズ、ダッカ、ラホールなど、歴史ある大都市の多くがこの平野の中にあります。農産物の集積地であり、政治や文化の中心にもなっていったんですね。
逆に、沖積平野だからこそ川の氾濫が頻繁に起こります。特に雨季のバングラデシュやビハール州(インド)では毎年のように洪水被害があり、人々は水と共に生きる知恵を持ちながら暮らしています。
南アジア北部の平野って、ただの「広い土地」じゃなくて、人々の暮らしと文明を何千年も支えてきた舞台なんですよね。農業、都市、人口、災害…すべてがこの地形に根ざしてる。だから地図を眺めるときも、「この平野があったからこそ今があるんだな」って想像すると、景色がぐっと立体的に見えてくると思いますよ。