
東南アジアに旅行したことがある人なら、一度は目にしたことがあるんじゃないでしょうか。クラクションが響きわたるバイクの群れ、渋滞でぴくりとも動かない車列…。 実は、東南アジアの交通事情は、その国の都市化のスピードや経済状況、道路インフラの発展具合がモロに現れる「社会の縮図」みたいなものなんです。今回は、そんな東南アジアの主要な乗り物事情や、なぜ渋滞が多発するのか、その背景についてわかりやすく解説していきます!
東南アジアを歩いていると、日本とはちょっと違う交通風景にびっくりすることがあります。国によって違いはあるものの、共通してよく見かけるのが以下のような乗り物たちです。
ベトナム、タイ、インドネシアなどでは、生活の足といえば圧倒的にバイク。特にハノイやホーチミンでは、通勤ラッシュになるとバイクの海って表現がぴったりなくらいの大渋滞になります。
タイのトゥクトゥクやベトナムのサイクロ(三輪自転車)は、観光客にも人気の乗り物。短距離移動には便利で、独特の乗り心地と街の風景が楽しめます。
フィリピンのジープニーは、米軍のジープを改造して作られた乗り合いバスのような存在で、地元の足として今でも現役。タイのソンテウ(トラック改造型乗り合いタクシー)も似たような役割を果たしています。
最近ではジャカルタやクアラルンプールなど、BRT(バス高速輸送システム)や都市鉄道が整備されてきていて、徐々に公共交通の充実も進んでいます。
「バイク多いな〜」くらいの印象で済ませてしまいがちですが、渋滞の原因にはもっと深い社会的背景があるんです。以下に、いくつかの主な要因を見てみましょう。
急速な都市化によって、首都や大都市に人口が集中。でも道路の整備がそれに追いついていない…。これがまず大きな原因です。例えば、ジャカルタやバンコク、マニラは交通量に対して道路面積が少なすぎると言われています。
都市部では地下鉄やモノレールなどの公共交通機関が少ないか、まだ整備途中の国も多く、個人の乗り物に頼らざるを得ない状況があります。その結果、バイクや車がどんどん増える…。
バイクは渋滞時でもすり抜けやすく、価格も安いことから圧倒的に普及しています。ただしその分、信号無視や無理な運転も多く、交通の流れをかえって悪くしている面もあります。
交通ルールはあるものの、取り締まりの緩さやインフラの未整備も影響して、カオスな運転環境が形成されている都市も多いです。特に右折・左折の優先があいまいで、交差点が混乱のもとになることも。
もちろん、この状況を放っておいてるわけじゃありません。東南アジア各国では、少しずつですが交通改善に向けた取り組みも進んでいます。
バンコク、クアラルンプール、ジャカルタなどでは、都市鉄道網の整備が進行中。フィリピンでもマニラに地下鉄を建設中で、2020年代後半にはかなり整ってくる見込みです。
バイクタクシー配車アプリ「Grab」や「Gojek」などの利用が広がっていて、車の所有ではなくシェアする考え方が徐々に定着しつつあります。
カメラによる交通監視システムや信号の自動制御なども導入され始めていて、今後の都市交通はどんどん「スマート」になっていく方向にあります。
東南アジアの交通事情は、その国の都市化のスピードや経済状況、道路インフラの発展具合がモロに現れる「社会の縮図」みたいなものなんです。カオスに見えるあの交通風景にも、実は理由がちゃんとあるんですね。次に旅行する機会があったら、ただの「渋滞」じゃなく、地域の成長や人々の暮らしのリズムとして眺めてみるのも面白いかもしれませんよ〜!