
南アジアって、なんとなく「暑そう」ってイメージありますよね。でも実は、雪のヒマラヤから灼熱の砂漠、雨が降りすぎる湿地帯まで、めちゃくちゃ気候のバリエーションがあるんです。
つまるところ南アジアは、ヒマラヤの存在とモンスーンの影響によって、6つの気候帯が混在する超多様な地域なんです。今回は、その代表的な6つの気候区分を、ざっくり押さえていきましょう!
インド東部、バングラデシュ、スリランカの南部など、南アジアでもっとも広く見られるのがこのモンスーン(季節風)による雨季と乾季がある気候です。
南西モンスーンの湿った風がヒマラヤにぶつかり、大量の雨を降らせます。バングラデシュでは年間4000mm以上の降水量を記録することもあるほど!
モンスーンが逆向きになる冬はほとんど雨が降らず、気温は高め。農業ではこの雨季と乾季をうまく使い分けて、二毛作・三毛作が行われています。
スリランカ南西部やインド西海岸(ケーララ州)では、年間を通じて雨が多い熱帯雨林気候が見られます。
気温は平均25〜30℃、湿度も常に高く、熱帯雨林や豊かな植生が広がる地域です。農業ではスパイス栽培(コショウ・カルダモンなど)がさかん。
モンスーンが長く居座るため、土砂災害やインフラ被害のリスクも高め。それでも水資源にはめぐまれた地域です。
インド中部やデカン高原などでは、雨季と長い乾季がはっきり分かれるサバナ気候が見られます。
米や雑穀などは雨のある時期に一気に育てるのが基本。乾季になると農業が難しくなるため、灌漑施設やダムが重要になります。
乾季に適応する形で、牧畜や綿花、ヒマワリなどの乾燥作物も栽培されています。
インド西部(ラジャスタン州)〜パキスタン東部に広がるのがステップ気候(半乾燥気候)です。草原や低木が生える程度で、農業には工夫が必要な土地です。
年間降水量は250〜500mmほど。雨が少なく気温が高いため、小麦や豆類など、乾燥に強い作物が中心になります。
農業だけでなく、ラクダやヤギなどの放牧も行われていて、気候に応じた生活スタイルが根づいています。
パキスタン南西部やインドとの国境地帯にあるタール砂漠では、ほとんど雨が降らない砂漠気候が見られます。
日中は40℃超え、夜は10℃以下ということも。水資源が限られているため、オアシスや井戸が人々の命綱です。
灌漑や集水技術を活用しながら、デーツ、ナツメ、乾燥野菜などを育てている地域もあります。
ネパール北部、ブータン、インドの北端など、ヒマラヤ山脈に近い地域では高山気候が見られます。標高が高いため、気温はかなり低め。
標高3000mを超える地域では、冬になると交通も生活も完全にストップすることも。標高が高くなるほど耕作は難しく、遊牧や伝統的な焼畑農業が主流です。
比較的温暖な高原ではジャガイモ、そば、茶葉などが栽培され、ヒマラヤ観光・トレッキングの名所としても人気です。
南アジアの気候は、「暑い」と一言ではくくれないくらいバリエーションに富んでいます。モンスーンの雨、ヒマラヤの雪、砂漠の乾燥…この地域の自然と暮らしを形づくっているのは、こうした多様な気候のハーモニー。気候を知ることで、南アジアの人々の知恵と適応力のすごさが見えてきますよ。