
中東というと石油や紛争のイメージが先行しがちですが、実はここ数十年で人口もぐんぐん増えてるんです。結論から言えば、中東の人口が増えている理由は「出生率の高さ」と「医療の進展による寿命の伸び」にあります。 「人口爆発」とまでは言わないまでも、かなりのスピードで膨らんでいて、社会構造にも影響を及ぼしているんですよ。
まずは現状から確認しておきましょう。中東全体の人口規模は、実はかなりのものなんです。
国際的な定義にもよりますが、「中東」と呼ばれる地域の総人口は、4.5〜5億人前後にのぼります。ここにはエジプトやイラン、トルコ、サウジアラビアといった人口規模の大きい国々が含まれているんですね。
人口はただ増えているだけじゃなくて、都市部への集中も進んでいます。ドバイやリヤド、イスタンブール、カイロといった巨大都市がますます膨張しており、それに伴ってインフラや雇用、住宅の問題も複雑化しています。
では、この中東の人口、昔はどのくらいだったのかというと…実は50年前とはまるで別世界なんです。
1970年代の中東の総人口は、今の半分以下、およそ1.7〜2億人台でした。それがこの50年でほぼ倍増以上になっているんですから、すごい勢いです。
特に1980年代から2000年代初頭にかけては、オイルマネーによる経済発展や、生活水準の向上によって出生率が維持されながら、死亡率が大きく下がりました。ここが人口増加のカギだったんですね。
さて、肝心の「なぜ増えるのか」について、ちょっと細かく見てみましょう。
中東の多くの国では、今も出生率が高めに維持されています。特にイエメンやイラク、パレスチナなどでは1人の女性が4人以上の子どもを産むケースも珍しくありません。
この数十年で、医療インフラの整備やワクチン普及が進んだことで、乳児死亡率や感染症による死亡が激減。これによって「生まれた命がしっかり育つ」社会になってきたんです。
中東の多くの国では、30歳未満の人口が半数を超えているという状況。若い世代が多いということは、今後もしばらく出生が続きやすい構造にあるということでもあります。
もちろん、人口が増えるのは良いことばかりではありません。とくに中東の場合は、いくつかの課題が見えてきます。
若者が多いということは、それだけ教育・就職先の確保が必要になるということ。失業率の高さは中東全体で共通の悩みとなっていて、社会的不満や移民流出の背景にもなっています。
都市に人が集中することで、交通渋滞や住宅不足、ごみ処理や水資源の問題が深刻化。特に水は中東にとって非常に貴重な資源なので、人口の圧力は環境問題にも直結します。
教育水準の上昇やインターネットの普及によって、若者の意識や価値観が変わりつつあり、伝統的な家族観や宗教観との摩擦も生まれています。これが社会変動の火種になることも。
中東の人口増加は、経済や宗教、医療の発展と密接に結びついていて、高い出生率と医療水準の向上がその主な要因なんです。増える若者世代をどう活かすか、それにどう応えていくかが、これからの中東の未来を左右する大きなカギになりそうですね。