
中東って言葉、地理の授業やニュースでもよく出てきますけど、たまに「中近東(ちゅうきんとう)」なんて言い方も聞きませんか?このふたつ、似てるようでどう違うのか、ちょっと気になりますよね。どういうことかというと、「中東」は国際的な表現、「中近東」は日本独自の表現として使い分けられているんです。 今回は、このふたつの違いと、中東という地域の地理的な特徴をわかりやすく解説していきますね。
まずは言葉の使い分けから見てみましょう。実はこの違い、国際基準と日本の言い回しのズレから来ているんです。
「中東」は英語の「Middle East」の訳語で、ヨーロッパから見て“中くらいに東にある”という意味。イギリスが19世紀末にインド方面の安全保障を語る際に使い始めたのが語源です。国際的にはこの「中東(Middle East)」が主に使われています。
日本では昭和初期あたりから「中東」と「近東(Near East)」を合わせて「中近東」という言い方が広まった経緯があります。ただ、今ではあまり厳密に区別されず、「中東」に一本化されることも多くなっています。
では、実際の地理的な「中東」ってどこからどこまでを指すのでしょうか?見てみましょう。
中東は、西アジアとアフリカ北東部の一部を含む地域です。トルコ、イラン、サウジアラビア、エジプトなどが代表的ですね。地図で見ると、ヨーロッパ・アジア・アフリカの結節点にあたる、非常に戦略的な場所なんです。
たとえば、国連は「西アジア」、世界銀行は「中東・北アフリカ(MENA)」という区分を使っていたりして、実は中東という呼び方には統一された国際基準がないんです。文脈によって含まれる国が増えたり減ったりします。
この地域の自然環境は、けっこう厳しい条件が多いです。でもその中に、文明が育つ条件もそろっていたりするんですよ。
中東といえば砂漠のイメージがありますよね。実際、サウジアラビアのルブアルハリ砂漠や、シリア・イラクにまたがるシリア砂漠など、乾燥地域が大半を占めています。雨は少なく、水資源はかなり限られているんです。
そんな中でも、チグリス川・ユーフラテス川のような大河や、ナイル川流域、地下水を使ったオアシス農業など、水源がある場所では古くから都市や文明が育ってきました。
中東は地理的にとても重要なポジションにあります。これは歴史や現代の政治にも強く関わってきます。
アジア・アフリカ・ヨーロッパの交差点にある中東は、昔から交易の要所でした。シルクロードやインド洋貿易もこの地域を経由していたんですよ。文化や宗教が交わる場所として、多様性も生まれました。
スエズ運河やホルムズ海峡といった海上輸送の要衝が中東にはあります。とくに原油や天然ガスの輸送ルートとして、今も世界のエネルギー供給にとって欠かせない存在なんです。
「中東」と「中近東」の違いって実はちょっとした表現の違いで、国際的には「中東(Middle East)」が使われ、日本独自に「中近東」という言葉が広まっただけなんです。でもその中身は、砂漠、石油、宗教、文明、すべてが詰まった世界の交差点。地理的に見ても、政治的に見ても、これほど多層的な場所はなかなかありませんね。