
パレスチナの国旗
出典:Wikimedia Commonsより
国の基本情報 |
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国名 | パレスチナ(Palestine) ※正式名称:パレスチナ国 |
首都 | エルサレム(Jerusalem) ※東エルサレムを首都と主張するが、実効支配はラマッラに本部 |
人口 | 約530万人(2024年推計、ガザ地区・ヨルダン川西岸含む) |
面積 | 約6,020平方キロメートル |
公用語 | アラビア語 |
通貨 | イスラエル・シェケル(ILS)、ヨルダン・ディナール(JOD)、米ドル(USD)など |
政治体制 | 半大統領制・分裂統治(ヨルダン川西岸はファタハ、ガザ地区はハマース) |
主要宗教 | イスラム教(多数派)、キリスト教(少数派) |
国際的地位 | 国連「非加盟オブザーバー国家」。一部国家により主権国家として承認 |
建国背景 | 1948年のイスラエル建国と第一次中東戦争を経て、パレスチナ人の国家権利を主張。1988年にパレスチナ解放機構(PLO)が「パレスチナ国」建国を宣言。 |
パレスチナって聞くと、「紛争」とか「ガザ」とか、重たいイメージが浮かぶかもしれません。でもそれだけじゃないんです。この地域には、古代文明の記憶と3つの宗教の聖地、そして今もなお続く“土地とアイデンティティ”をめぐる壮絶な物語があるんです。今回はそんなパレスチナについて、地理・歴史・宗教・政治・そして現代の人々の暮らしまで、じっくりと見ていきましょう!
パレスチナは西アジア(中東)に位置し、地中海東岸の一帯を指す地域名です。具体的にはガザ地区とヨルダン川西岸地区の2つのエリアが中心ですが、国家としてはまだ未確定な立場なんです。
ガザは地中海沿いの細長い土地で、エジプトとイスラエルに挟まれた超人口密集地域。一方、ヨルダン川西岸は丘陵地が多く、イスラエルに囲まれたパレスチナ人の暮らしの拠点になっています。
・地中海沿岸らしい温暖な気候
・ガザは乾燥気味、西岸はオリーブやブドウ栽培も盛ん
・都市と農村が入り交じる地形だけど、軍事境界線で土地利用がかなり制限されている
およそ500万人以上のパレスチナ人がガザ・西岸に住んでいます。他にも多くが難民として国外(レバノン、ヨルダン、シリアなど)に点在。宗教的には大半がイスラム教徒で、一部にキリスト教徒もいます。言語はアラビア語。
パレスチナの歴史は、古代文明から現代の国際政治まで連続していて、とにかく濃いんです。「パレスチナ国家」としてはまだ成立していないけど、アイデンティティはしっかり受け継がれてきています。
この土地はユダヤ教・キリスト教・イスラム教のすべての発祥地であり、エルサレムには三宗教の聖地が集まっています。古代にはカナン人、ペリシテ人、ヘブライ人などさまざまな民族が共存していたんです。
16世紀以降はオスマン帝国の支配下。第一次世界大戦後、イギリスがパレスチナを委任統治するようになり、その頃からユダヤ人の移住が加速。土地の所有と民族の共存がだんだん困難に…。
1948年、イスラエルが建国を宣言。同時に多くのパレスチナ人が土地を追われ難民になります。この時期をパレスチナ人は「ナクバ(大災厄)」と呼び、今もその記憶は色濃く残っています。
その後の中東戦争(1967年)で、ガザ地区・西岸地区がイスラエルに占領されます。現在に至るまで、この“占領状態”が続いているわけです。
パレスチナには正式な国家政府は存在しませんが、パレスチナ自治政府(PA)が一部地域で行政を担っています。もうひとつの実力組織ハマスとの対立もあり、政治はかなり複雑です。
・パレスチナ自治政府(ファタハ中心):ヨルダン川西岸を実効支配
・ハマス:2007年以降、ガザ地区を実効支配
この内部分裂が、「パレスチナ国家の確立」をさらに難しくしています。
2012年に国連で「オブザーバー国家」として認められたパレスチナですが、正規の国連加盟国ではありません。現在もイスラエルとの和平交渉や入植地問題をめぐって国際社会は二分されています。
中東諸国や国際NGOの支援もありますが、ガザ地区は封鎖され、人道危機とも言える状況が続いています。イスラエル・エジプト両国の検問・制限が、人々の生活を圧迫しています。
正直に言えば、パレスチナ経済はかなり厳しい状況です。失業率の高さ、インフラ不足、移動制限など、課題は山積み。でもその中でも、人々はしたたかに生き抜いています。
ガザでも西岸でもオリーブ栽培や手工芸が重要な産業。ただし、封鎖や戦闘の影響で輸出が制限されることも多く、収入源が不安定です。
意外かもしれませんが、教育レベルは高いんです。大学進学率も高く、ICTや医療分野で働く若者も増えています。ネットを活用して世界とつながる力が育ってきています。
世界中のパレスチナ難民コミュニティが、SNSなどを通じて本国と連帯。また、「#FreePalestine」のような草の根運動が、各国で広がりを見せています。
国としてはまだ未完成でも、パレスチナ人としての誇りはしっかりと根付いています。文化、音楽、食、服飾、どれも力強くて繊細なんです。
アル・アクサ・モスクはイスラム教第三の聖地。ユダヤ教の神殿跡と重なっているため、宗教的緊張の根源にもなっています。宗教=アイデンティティという面も強くあります。
刺繍(タトリーズ)や詩、民謡は古くから受け継がれていて、それが現代アートやポップカルチャーにも昇華されてきています。
マクルーバ、クナーファ、オリーブ料理など、家庭料理には豊かな伝統が。おもてなし文化も強く、「誰かと分け合う」ことが基本なんです。
パレスチナは、ただの「紛争地域」じゃありません。深い歴史、豊かな文化、そして「未来を信じて生きる人々」が息づく場所なんです。ニュースでは見えないその日常やアイデンティティにも、もっと目を向けてほしいなと思います。表面的なイメージを超えて、「パレスチナ」という名前に込められた背景を知ること。それが、理解の第一歩になるんじゃないでしょうか。